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小島慶子、あさイチ「発達障害」特集で「中学3年間は闇の時代だった」「診断が下るかどうかより、その人が何に困っているかが大事」

2019年06月25日 07:10  キャリコネニュース

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タレントでエッセイストの小島慶子さんが、6月24日放送の「あさイチ」(NHK総合)にゲスト出演し、自身の経験を交えコメントした。小島さんは、昨年夏に軽度の発達障害であることを公表している。

番組では、「思春期の発達障害」について特集。小島さんは、40歳を過ぎてから軽度のADHD(注意欠如・多動症)だと医師に告げられたと明かす。

「びっくりしましたけど、色々と困りごとがあったのは、そういうことだったのかと。対処の仕方が分かるようになったので良かったですね」

など、当事者の目線に立った意見を述べた。(文:okei)

「私なんか死ねばいい、私なんかダメ人間だと自分を責めた」

小島さんは、「中学3年間は闇の時代だったんです」と、苦しんだ思春期を語った。中学校から私立に通い始めたが、環境の変化や、もともと得意ではなかった人間関係が、中学でより複雑になったことで躓いたという。

「なぜうまくいかないかわからないので、学校も世の中も何もかも、私も消えてなくなればいいと思って。3年間は反抗をしまくってブラックリストに載ってしまった。辛かったですね」
「親ともぶつかり合った。私なんか死ねばいい、私なんかダメ人間だと自分を責めるほうに行ってしまった」

思春期は、親と話したくない反抗期でもあるため、周囲も本当の苦しみに気づきにくいという。小島さんが10代の頃は、まだ「発達障害」は一般に知られておらず、親も本人も訳が分からないまま苦しむしかなかったようだ。

また、自身が軽度のADHDを公表した後、周囲から様々な反応があったことも明かした。「小島さんやっぱり発達障害だからそうなのね」と閉じた見方になってしまう人もいるし、「うちの子に診断が下っちゃったらどうしよう」と怯える人もいるとした上で、

「診断がくだるかくだらないかより、その人が何に困っているかのほうが大事」
「困っていることを解決してあげるために、専門家につながるのが良い場合もあるし、話を聞いてあげることが必要な場合もあるし。それは人それぞれなので、あまりにも『診断が下る』ことにこだわり過ぎてしまうと、却ってその人が見えなくなってしまう」

と指摘した。日本はまだまだ「障害」と名の付くものに偏見があるが、診断そのものより、本人の生きづらさを周囲が具体的に理解することが先決、という意見だ。ネット上では小島さんに対して、「さすが」「問題への切り込みが適切で鋭い」など称賛が上がっている。

発達障害の判断基準のひとつ「そのことで生活に支障が出るかどうか」

番組では、精神科医の本田秀夫医師は、小島さんの考えは、「とても大事なこと」と頷く。発達障害の判断基準は色々あるが、「そのことで生活に支障が出るかどうか」が大事。つまり、困っていることが無ければ「発達障害」と診断する必要は無く、「何か特別な対応をしたほうがいい場合に、初めて診断するという考え方」だという。

例えば番組では、感覚過敏の高校生が教室の明かりが眩しくて体調を崩したとき、暗い静かな部屋に移動したり、字は読めるが書けない学習障害の中学生が、パソコンでテストを受けるなどの配慮が紹介された。この男子生徒は、「知ることや、勉強が好きになった」と語っていた。小島さんが言うように、診断を受けたことで本人が何に困っているか分かり、周囲がそれを助けた好例だ。

これは「合理的配慮」といい、周囲ができるだけ障壁を取り除いていくよう、3年前から法律で定められている。しかし、まだ認識不足の学校や教員も多く、すべてがかなえられるわけではない。本田医師は、目が悪い人がメガネをかけるように、「本来は全ての学校でやらなきゃいけない」と指摘していた。