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終盤に挽回をみせた佐藤琢磨「接触がなくても、今日のクルマの状態はトップ5くらい」

2019年06月24日 09:11  AUTOSPORT web

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レース後マシンを止めてピットに戻る佐藤琢磨
NTTインディカー・シリーズはウイスコンシン州のロードアメリカに移動。北に位置し緑が多く起伏に富んだコースは、昔ながらのレースコースでインディカーシリーズの中では最も長い4.048マイルのロードコースだ。

 現在シリーズランキング5位の佐藤琢磨にとっても、ここは好きなサーキット。ヨーロッパのサーキットの雰囲気に似ているのもひとつの理由だった。昨年はここで予選7番手から4位まで浮上しレースを盛り上げた。

 好きなレーストラックと公言しているだけあって、金曜日のプラクティス1を2番手で終え好調なスタートを切っていた。

 だが午後のFP2、そして土曜日のFP3は なぜか18番手に沈み勢いを失った。

「最初の出だしは良かったのですが、マシンを変えたらバランスを失ってスピードがなくなってしまいました。アラバマでの延長線上でマシンの方向性は見えているのですが、ロードアメリカのコースに合わせるのが、うまくいかなかった……」

 アレクサンダー・ロッシやジョゼフ・ニューガーデンなどランキング上位のドライバーたちが、安定した速さを見せているだけに予選が心配だった。


 Q1では最初のグループになった琢磨だが、レッドタイヤでスピードを伸ばし2番手で通過。Q2は5番手で通過してファストシックス進出を果たした。ファストシックスでは、あえてピットで待機して2周だけのアタックにしたが、ライバルのスピードには追いつけず結局6番手で予選を終えた。

 見失いつつあったスピードを予選で取り戻してきたのは流石とも思えたが、上位のドライバーと1秒近い差もあった。

「このロードアメリカはコースが長いので、少しのミスが大きくタイムに響きますし、最後までまとめるのは難しいコース。プラクティスまで苦戦していたし、それでもグラハム(レイホール)やエンジニアたちと協力して、ここまでスピードが戻ってきたのは良かった」と琢磨も安堵の表情だ。

 決勝のレースは6番手、3列目外側からのスタート。グリーンのコールと共にターン1になだれ込むが、琢磨は前のジョゼフ・ニューガーデンをインから抜き5番手となる。その次の周は、反対にニューガーデンにポジションを戻され6番手。レース序盤の熾烈なポジション争いだった。

 だがその翌周は前が詰まった勢いで、後続のヒンチクリフが琢磨に仕掛けて接触。コースオフした琢磨は大きくポジションを落とすことになった。

 12番手で戦列に戻った琢磨は、前のマルコ・アンドレッティを抜き、さらにはサンティーノ・フェルッチがピットに入り10番手となる。

 そして前のセバスチャン・ブルデーを抜こうとハードブレーキングをしたところでレッドタイヤでフラットスポットを作ってしまい、ピットインのタイミングを早めることになった。



 12周目で最初のピットインをした琢磨はブラックタイヤで追い上げたが、コールドタイヤではペースも上がらず、しばらくブルデーを追うレース展開となった。

 2回目、3回目のピットでも順位を上げることができず、そしてまったくイエローコーションの出ない展開で、このポジションからの上位進出の望みは少なかった。

 だが終盤にわずかなチャンスが訪れる。琢磨の前を走るブルデーとライアン・ハンター-レイはレッドタイヤを履いており、レース終盤はペースが落ちてきた。

 ブラックタイヤを履いていた琢磨はじわじわと追い上げ、残り5周でまずブルデーを。そして最終ラップでハンター-レイを仕留めて10位でチェッカーを受けたのだった。最後の最後で維持を見せたかたちだ。

 琢磨も燃料ギリギリの戦いを強いられており、チェッカー後にメインストレートエンドでマシンを止めた。

「レーススタート後のニューガーデンとは、フェアなバトルができました。だけどその後のヒンチクリフとの接触は納得できないですね。去年のロッシもそうでしたけど……」

「例えば最後のライアンとのバトルにしても、プッシュ・トゥ・パスを使いながら、ターン1から2でポジションを入れ替えたりしてますが、相手のラインは残しているし相手をリスペクトしたバトルでした。しかし、ヒンチクリフとの接触がなかったとしても、今日のクルマの状態であればトップ5くらい、グラハム(4位入賞)の位置が限界だったでしょう」

 琢磨が苦戦している中で、優勝したアレクサンダー・ロッシはまったくライバルを寄せ付けない速さを見せ、また一度接触で最後尾まで落ちているスコット・ディクソンは、巧妙なレース戦略で5位まで挽回してレースを終えた。

 琢磨はランキング6位となってしまったが、タイトルを争うライバル勢は速さと強さを兼ね備え結果を出している。ここから先、シーズン後半が琢磨とレイホール・レターマン・ラニガンのチームにとって正念場となりそうだ。