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インディカー第10戦詳報:ライバルも降参する速さでロッシが2勝目。琢磨は粘り強い走りをみせる

2019年06月24日 08:51  AUTOSPORT web

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チームクルーと勝利を喜ぶアレクサンダー・ロッシ
23日、インディカー・シリーズ第10戦ロードアメリカの決勝レースが行われ、2番手スタートのアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)がレースを制圧し、今シーズン2勝目を挙げた。

 シリーズ第10戦はウィスコンシン州のロードアメリカ。全長が4.014マイルとアメリカのサーキットとしては長く、森の中のアップダウンに富むヨーロッパ的な雰囲気を醸し出しているコースはドライバーたちにも、そしてファンの間でも人気が高い。

 ポールポジションを獲得したのは、ルーキーのコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)だった。

 デビュー3戦目となるサーキット・オブ・ジ・アメリカスで行われた第2戦で早々に初優勝を飾った彼が、初PPもデビュー11戦目となるロードアメリカで記録した。18歳と359日でインディーカー最年少のウイナーとなった彼は、19歳と53日で最年少PPウイナーともなった。どちらもレイホール二世のグラハムの記録を塗り替えたのことだ。

 現在のインディカーで最速の呼び声高いアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)を打ち破ってのポール獲得を果たしたハータ。これはもう見事と言う他なかった。

 今回はチーム・ペンスキーのジョセフ・ニューガーデンとウィル・パワーも、「あのふたりのペースには敵わなかった。特に、PPを獲得した若いハータのパフォーマンスは本当に素晴らしい」と脱帽していたほどだ。ハータ二世の今後の成長ぶりにはおおいに期待したい。

 フロントロウはホンダ勢のアンドレッティ系ドライバーたちが獲得。昨年のロードアメリカでポール・トゥ・ウインを飾っている2017年シリーズチャンピオンのニューガーデンが予選3番手。

 2016年のロードアメリカ優勝者で、2014年シリーズチャンピオンのパワーが予選4番手だった。

 相変わらずシボレー勢はペンスキー頼み。そして、シモン・パジェノーのロードコースでのパフォーマンスもまだ本来のものに戻っておらず、予選ではQ1通過もできずの16番手だった。

 三段階の予選のファイナルに進んだのは、上記の4人とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのドライバーふたり。佐藤琢磨とグラハム・レイホールだ。

 プラクティス3まではマシンが決まらずに苦しんでいた彼らだったが、予選に向けた細かなセッティング調整でマシンのパフォーマンスが良くなり、レイホールが予選5番手、琢磨が予選6番手となった。

 プラクティスでずっと好調だったライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)がQ1で敗退したのは意外だった。コンディションを読み違え、セッティングが僅かに狂っていたのだ。

 2017年ロードアメリカウィナーで5回のシリーズタイトル獲得歴を誇るスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、Q1終了時点でエンジントラブルが発覚、Q2を走らなかった。彼の予選結果は12番手となった。

■圧勝劇となった決勝レース
 雨の予報も出ていた決勝日だったが、キャンプをしながらレース観戦を楽しむスタイルのファンが多いロードアメリカ上空は、雲が広がりこそしたものの、とうとうゴールまで雨粒が落ちてくることはなかった。

 55周で争われたレースは、スタート直後のターン1~2でトップを奪ったロッシが危なげない走りを続けて優勝へと逃げ切った。

 ロングビーチに続き、アンドレッティ・オートスポートのカーナンバー27はピットストップの間以外はトップを譲ることなくゴールまで走り切った。これでロッシは今シーズン2勝目。キャリア7勝目だ。


 昨日の予選後、「予選ではどのセグメントでも0.2秒ぐらい足りていなかった。その差を埋める方法を見つけて明日のレースを戦いたい」と語っていたが、チームが打開策を発見。ロッシは圧倒的勝利を飾った。

 ハータはレースで安定感を欠き、最終スティントにレッドタイヤを投入する作戦も失敗。8位でのゴールとなった。

 2位はパワーが手に入れたが、彼は状況が予選から変わっていないことを語った。

「予選ではトップ2に入れたら……と考えていたが、ハータとロッシ、トップ2台と自分たちとの間には明確な差があった。今日のレースでは、アレックスの姿が僕には見えなかった。こんなこと、今までのキャリアで言ったことがない」

「自分たちのマシンに悪いところはなく、バランスも取れていたのに、アレックスと同じペースで走ることはできなかった。その差がどこにあるのか、突き止めなければならない。今日はチームメイトのジョセフ(・ニューガーデン)とのバトルに終始し、彼の前のポジションでフィニッシュすることができた」とパワーは語った。


 そして、ポイントリーダーのニューガーデンは、できればパワーの前でゴールしたいところだった。それでも10戦で6回目の表彰台だ。

「1周につきコンマ5秒、僕らはアレックスより遅かった。自分たちに何が足りていなかったのか、それを見つけないと。今日はまぁまぁな1日。勝てなかったこと、優勝争いができなかったことにガックリきている」と話した。

 琢磨にとってはアップダウンの激しいレースとなった。スタートで一瞬セバスチャン・ブルデー(デイル・コイン・レーシング)に先行を許すも、彼を抜き返し、ニューガーデンも抜いて5番手で1周目を終えた。

 しかし、2周目にニューガーデンにパスされ、その後にアタックしてきたジェイムズ・ヒンチクリフ(アロウ・シュミット・ピーターソン)にターン2でコースから押し出された。

「もっと良いレースを戦いたかった」と琢磨は悔しがった。

「僕とライアン・ハンター-レイのバトルは激しいけれどフェアだった。ニューガーデンとだって、接触はしたけれど両車ともコース上に残り続けることのできるバトルだった。あれでヒンチクリフはペナルティにならなかったの?」と彼は続けた。

 13番手まで順位を下げた琢磨は、なかなかその周辺ポジションから抜け出せない戦いが続いていたが、終盤戦で粘り強いファイトを見せ、ブルデーとハンター-レイをパス。

 何とかトップ10に復活してのゴールを果たした。琢磨のポイントスタンディングは5位から6位に下がった。彼の前の5位には今回2位フィニッシュしたパワーが入った。


 琢磨が残念な展開となったレースで、レイホールは4位フィニッシュ。ディクソンは1周目のターン5でミスし、ハンター-レイと接触して最後尾まで後退しながら、5位までポジションを上げてゴールした。

 レース中のペースは速く、スタート位置によっては、優勝争いは不可能だったとしても、ペンスキーのふたりと表彰台を争うことはできていた感じだった。ディクソンのチームメイト、ルーキーのフェリックス・ローゼンクヴィストも奮闘して6位でフィニッシュした。

 後半戦に突入したインディカー・シリーズ。次戦は、7月14日にトロントで開催される。