F1フランスGP決勝終盤、4台による7位をめぐるエキサイティングなバトルが展開されたが、7位でフィニッシュしたルノーのダニエル・リカルドはレース後、ペナルティをふたつ科され、ポイントを失った。
8番グリッドスタートのリカルドは、1周目に10番手に落ちたものの、何度かオーバーテイクを成功させ、39周目には8番手まで順位を回復していた。レース終盤、7番手のランド・ノリスが油圧系トラブルによりペースを落とし、リカルド、キミ・ライコネン、ニコ・ヒュルケンベルグが追いつく形になり、4台が激しい7番手争いを繰り広げた。何度か順位が入れ替わった後、最終的にはリカルドが7位、続いてライコネン、ヒュルケンベルグ、ノリスの順にフィニッシュした。
しかしレース終了直後、リカルドのオーバーテイクについて審議を行うことが発表され、リカルド、ノリス、ライコネンがスチュワードに召喚された。スチュワードは関係者の話を聞き、証拠を検証した結果、リカルドにふたつのペナルティを科した。
ひとつはリカルドがコースを外れた後、安全な形で復帰しなかったこと。リカルドはターン8アウトからノリスを抜きにかかった際に、コーナー出口でコースからはみ出したが、この後のコース復帰のアングルにより、ノリスは接触を避けるためにコースを外れなければならなかったとスチュワードは説明している。リカルドは、コースに戻る時に大幅に減速、左フロントタイヤをロックアップし、ランブルストリップによりマシンをコントロールしづらかったとの主張を行ったが、スチュワードは、コースに安全でない形で復帰し、その結果、ノリスからポジションを奪ったと判断、リカルドに5秒のタイムペナルティおよびペナルティポイント2を科した。
もうひとつのペナルティは、コースを離れてライコネンをオーバーテイクし、持続的なアドバンテージを得たとして与えられた。
ターン8でのリカルドとノリスのインシデントの後、ライコネンはふたりの前に出た。マシンのコントロールを取り戻したリカルドは、ターン9からライコネンを追いかけ始め、前に出ることに成功した。ライコネンはストレートでわずかに右に動いて防御したが、コースから外れることはなく、リカルドのマシンの一部が並びかけた時に右に動いたわけでもないため、リカルドをコース外に追いやったわけではないが、リカルドはコースを離れてアドバンテージを得てオーバーテイクのアクションを取ったとの見解を、スチュワードは示した。
スチュワードは、このインシデントをその前のインシデントの続きとみなすことも考えたものの、ノリスとのインシデントの後、リカルドはマシンのコントロールを取り戻していたため、コースから外れてライコネンの前に出たことは別のインシデントと判断、別個に5秒のタイムペナルティとペナルティポイント1を科すことを決めた。
合計10秒を加算されたリカルドは7位から11位に降格され、ポイントを失った。これによりライコネン、ヒュルケンベルグ、ノリス、ピエール・ガスリーが7位、8位、9位、10位にそれぞれ繰り上がった。ガスリーは入賞外だったが、1ポイントを獲得。ルノーにとってはホームグランプリでのダブル入賞を失う結果となった。
■「チャンスがあるのに黙って見ているより戦う方がいい。すごく楽しかった」とリカルド
審議中であることが発表され、裁定が明らかになる前の段階で、リカルドは、コース外に出ないよう全力を尽くしたと述べるとともに、全力で戦ったことに悔いはないと語っていた。
「楽しいファイナルラップだった。正直言って、僕としては(審議の結果)何が起きても構わない。ただじっと後ろで我慢して敗者になるよりは、何ができるかを確かめるために戦う方がいい。すごく楽しかった」とリカルドが述べたとFormula1.comが伝えた。
裁定後、リカルドはSNSで「後悔はない。やる気を見せずに後ろで引っ込んでいるよりよかった」「皆が楽しんでくれたのならうれしいよ」とコメントしている。