2019年のADAC・トタル24時間レース=ニュルブルクリンク24時間レースは6月22~23日、ドイツのニュルブルクリンクで決勝レースが行われ、SP3Tクラスに参戦したカルロ・バンダム/ティム・シュリック/山内英輝/井口卓人組88号車スバルWRX STIは、今季もクラス優勝を飾ったほか、総合でも19位に食い込む素晴らしい走りをみせた。
2007年からニュルブルクリンクに挑戦しているSTIは、今季さまざまな改良をWRX STIに施し、2019年のレースに挑んだ。ドライバーラインアップは昨年から変わらずバンダム/シュリック/山内/井口という信頼をおく4人がステアリングを握った。
6月20~21日の2回の予選では、カップカーやGT4カーらに続き、9分01秒872というタイムで、予選総合53番手に食い込んだ。ドライバーたちは目標としていた9分切りができず悔しがったが、それでもSP3Tのパフォーマンスとしては非常に高い。
迎えた決勝では、序盤にシュリックがSP9のアウディにラップされる際にヒットされダートを走ってしまうものの、それ以外のアクシデントや大きなトラブルはなし。今季のWRX STIは、速さだけでなく安定感も抜群。ドライバーたちもきっちりと仕事をこなし、アクシデントが多発した今季のニュルで、気づけば総合19位という素晴らしい結果を残すことになった。当然SP3Tは優勝だ。
「ドライバーもノーミスでしたね。今年の(荒れた)展開をみていると、ラッキーだったと思います。みんなが役割を果たして、うまくいったんでしょうね」と辰己英治総監督は振り返った。
ちなみに、カップカー等に次ぐ順位と言える総合順位について聞くと、「意外といくんですね」と笑う。ただ、辰巳総監督によれば、もっと上がってもいいものなのだとか。それはスタート時のカラクリだ。
ニュルブルクリンク24時間は158台ものマシンが予選を通過しており、スタート時は安全性を配慮し3つのグループに分けられる。WRX STIは、排気量からグループ3の前列からスタートすることになるが、本来の予選順位では下にいた、グループ2のマシンたちが前にいるため、彼らをまず抜かなければいけないのだ。さらにWRX STIは、グループ1のマシンたちから比べると、6分もの“ハンデ”を背負っているという。
「ウチはスタートでグループ1から6分遅れているんですよね。我々の間にグループ2がいて、ほとんどがウチより遅いんですが、それを抜くのに時間がかかっているんですね。それがなかったらもう少しいくかもしれませんね」と辰己総監督。
この総合順位も含め、今季のスバルの快走は、全国のスバルディーラーから参加したメカニックたちを含め、全員がきっちりと仕事をこなし、大いに賞賛されるべきものといえる。ニュルではスバルファンも増えつつあり、今季はさらに鮮烈な印象を残すことになった。