6月23日現地時間午後3時10分、フランスGP決勝が行なわれ、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンが優勝を飾った。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは4位入賞。11位でフィニッシュしたピエール・ガスリーは、ダニエル・リカルド(ルノー)のペナルティにより繰り上がり10位入賞を果たした。
この日も朝から晴れわたって暑くなり、気温は26度、路面温度は54度まで上がった。
パワーユニット交換によりダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)は19番グリッド、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)は20番グリッドに降格となっている。
上位勢はミディアムタイヤが中心で、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)とガスリーがソフトタイヤ。Q1・Q2敗退組の中ではアレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)、ケビン・マグヌッセン(ハース)、ロバート・クビサ(ウイリアムズ)、ラッセルがミディアムタイヤで残りはハードタイヤと各チーム内でも二分した。
スタートは各車がスムーズに切ってハミルトンが首位を守りバルテリ・ボッタス(メルセデス)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がこれに続く。
フェルスタッペンはやや加速が鈍くマクラーレン勢に襲いかかられターン1手前ではカルロス・サインツJr.(マクラーレン)にアウトから抜かれるが、ターン1~2でなんとかこれを抜き返して逆にルクレールに並びかけるも4番手に留まった。
サインツはバックストレートでもフェルスタッペンに襲いかかるが、フェルスタッペンは巧みなブロックラインでこれを抑え切った。6番手にランド・ノリス(マクラーレン)、7番手セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、8番手ガスリー、9番手ジョビナッツィ、10番手ダニエル・リカルド(ルノー)という順でコース上ではトレイン状態で各車がズラリと続く。ベッテルは5周目にノリスを抜いて6番手に浮上した。
7周目にジョビナッツィがピットインしてハードタイヤに交換し最後尾のウイリアムズ勢の後方に戻る。一方、ガスリーはステイアウトしてソフトタイヤで走り続ける。
首位ハミルトンはファステストラップを連発しながらボッタスとのギャップをじわじわと広げていく。ルクレールはメルセデスAMG勢に着いていけずギャップはさらに広がっていき、2秒後方にフェルスタッペンを抱えたままの走行を強いられる。ベッテルはその8秒後方で5番手につける。
マクラーレン勢はそこからさらに7秒後方に続き、6番手サインツから17番手ロマン・グロージャン(ハース)まではほとんど差がないトレイン状態が続く。ガスリーはその中に埋もれてなかなかポジションを上げられない。15周目にはクビアトがハース勢を抜いてアルボンの後方15番手まで挽回してきた。
16周目、リカルドがピットインしハードタイヤに履き替える。マグヌッセンも同様にピットインしてハードタイヤに換えた。翌周ガスリーも反応してピットインし、ハードタイヤを履いてリカルドの前でコースに復帰しアンダーカットを防いだ。しかしバックストレートでリカルドにDRSを使われて抜かれてしまう。
18周目にはノリスとペレスがピットインし、ペレスは1周目のコースカットで科された5秒加算ペナルティをここで消化する。サインツも19周目にピットインを済ませ、ノリスの前で戻った。
20周目にフェルスタッペンがピットインし、ベッテルは逆にステイアウトして第1スティントをできるだけ引っ張る作戦を採る。そしてフェラーリは翌周ルクレールをピットインさせてフェルスタッペンのアンダーカットを阻止する。
ボッタスは23周目にピットインするが、ハミルトンは「タイヤはまだ良い状態だ」と23周目にファステストラップを記録。そして24周目にピットインして盤石の体制でハードタイヤを履いてトップのままコースに復帰する。
ベッテルは25周目のターン1で左フロントをロックアップさせてしまい、ピットイン。ハードタイヤに交換してフェルスタッペンの後方5番手でコースに復帰する。これで首位ハミルトン、2番手ボッタスは12秒後方、さらにそこから4.5秒差で3番手ルクレール、さらに8秒差で4番手フェルスタッペン、その6秒後方にベッテルというトップ5となった。
31周目にライコネンがピットインし、クビアトの後方12番手で戻るがすぐにオーバーテイクして10番手に上がり、クビアトはこの周にピットイン。11番手に上がったライコネンを中団グループのトラフィックに捕まっていたガスリーが追いかける。
34周目にヒュルケンベルグがようやくピットインしてミディアムタイヤへ交換。ぎりぎりでガスリーの前に戻り11番手となる。15番手まで下がっていたジョビナッツィは2回目のピットインでミディアムタイヤに履き替え状況の打開を図る。39周目にストロールがピットインし、これで全車がタイヤ交換を完了。
映像で見る限りメルセデスAMG勢はフロントタイヤの内側にブリスターが出ているが、ハミルトンはタイヤのフィーリングは良好と無線で伝える。6番手サインツの背後でペースアップを要求するノリスは、ハイドロ系にトラブルが発生したようで、トラブルの悪化を防ぐためにDRSの使用を控えることを余儀なくされた。さらにデフの効きが悪くなってマシンが不安定になり、パワーステアリングの効きも悪くなっていく。
40周目を過ぎたところから各車がファステストラップ狙いのプッシュラップを始め、ルクレール、ハミルトン、ボッタスとファステストラップを更新していく。しかし後方サインツまで50秒以上のギャップを持つベッテルは51周目にポジションを失うことなくピットインを行ない、ソフトタイヤを履いてタイムアタック。
レース終盤に入って後方では9番手ライコネンと10番手ヒュルケンベルグが激しい争いを繰り広げる。さらに8番手リカルドもトラブルを抱えるノリスの背後に迫り、最終ラップで抜いて7位に浮上。ノリスはヒュルケンベルグにも抜かれ、何とか10位でフィニッシュ。
ガスリーは地元レースで5.230秒届かず11位でノーポイントに終わった。自主リタイアを選んだグロージャン以外の全車が完走し、トロロッソ・ホンダ勢はクビアト14位、アルボン15位でのフィニッシュとなった。
ハミルトンは最終ラップに各セクターでベストタイムを刻みこの時点で最速となる1分32秒764を記録してトップでチェッカードフラッグを受けた。ルクレールは2位ボッタスの1秒後方まで迫ったものの抜くまでには至らず3位でフィニッシュ。フェルスタッペンはタイヤが完全に終わったと訴えながらも4位でフィニッシュし、ベッテルは1分32秒740とハミルトンから僅か0.024秒差でファステストラップを更新して1ポイントを追加した。
レース後、7位フィニッシュのリカルドには、コース外に出たことでアドバンテージを得たとしてレース後に5秒のペナルティ、さらに安全にコースに戻らなかったことで5秒の計10秒のペナルティが科され11位に降格。その結果、7位ライコネン、8位ヒュルケンベルグ、9位ノリス、10位ガスリーと、ポジションが一つずつ繰り上がっている。