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山本尚貴がポール・トゥ・ウィンで今季初優勝。終盤2度のSC導入の混戦で可夢偉が2位獲得【スーパーフォーミュラ第3戦SUGO決勝】

2019年06月23日 19:01  AUTOSPORT web

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ポール・トゥ・ウインで今季スーパーフォーミュラ初優勝を飾った山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
6月23日(日)、スーパーフォーミュラ第3戦SUGOの決勝レースが68周で行われ、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの山本尚貴がポール・トゥ・ウィンで今シーズン初優勝を飾った。2位に小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、3位にルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)が入り、表彰台に上がった。

 土曜日に行われた予選では、Q3セッションで全員がアタックできてない状況にも関わらず安全上の理由などで赤旗終了となり、各ドライバーが不完全燃焼に終わったなかで山本がポールポジションを獲得。2番手タイムをマークしていたのはアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)だったが、パロウはQ3のSPふたつ目でクラッシュして赤旗中断の原因を作ったとしてタイムを抹消され、野尻智紀(TEAM MUGEN)が繰り上がりで2番手に、ルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)が3番手となった。

 決勝のタイヤ戦略は、上位勢ではPPの山本、3番手アウアー、7番手牧野任祐、8番手パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)がソフトタイヤを選択。2番手の野尻、4番手の塚越広大(REAL RACING)、そして5番手の可夢偉がミディアムタイヤを選択し、上位8台でソフト4台、ミディアム4台とタイヤ選択が分かれた。後方ではハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)もソフトタイヤであり、全体ではソフト7台、ミディアム13台の割合となった。当然、ミディアム勢はレースの序盤にピットインする戦略だ。

 天候は曇り、気温24度、路面温度33度というドライコンディションでレースがスタート。ポールポジションの山本が抜群のスタートを決めて先頭で1コーナーに向かった。3番手のアウアーがOTS(オーバーテイクシステム)を使って追い抜きを試みるも、野尻がポジションを守りきり、5番手の可夢偉が好スタートで4番手塚越の前を奪い、ポジションをひとつアップしている。

 オープニングラップを終えると、2番手野尻、4番手小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、そして福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)、坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、山下健太(KONDO RACING)というミディアムタイヤでスタートしたドライバーがピットへ入り、ソフトタイヤへ交換。またそのタイミングでは可夢偉は給油も行ったが、他の多くのドライバーはタイヤ交換のみのピットインとなった。

 ミディアムタイヤ勢では2周目を終えた時点でダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)が、3周目には石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)と国本雄資(KONDO RACING)もピットへ向かい、続々とタイヤ交換を行った。国本はピットアウト時にインパクトレンチのエアホースを踏んで若干タイムロスしたが、その後、問題なくコースへ復帰した。

 9周目には大嶋和也、10周目にはアーテム・マルケロフというUOMO SUNOCO TEAM LEMANSのふたりもタイヤを交換し、これで平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)以外のミディアム勢がタイヤ交換を済ませた状況に。序盤のタイヤ交換が落ち着き、10周目を迎えたところで隊列は山本を先頭にアウアー、牧野、ニューウェイと続き、平川は5番手までポジションを上げた。その後方では、関口と中嶋が序盤からポジション争いを繰り広げていた。

 16周目を迎える頃には、山本が隊列後方のドライバーを早くも周回遅れにし始めた。平川は20周目を終えたところでようやくピットに入り、ソフトタイヤへ交換。給油を行って16番手でコースに復帰した。

 レースも中盤に入り、トップの山本から7番手の中嶋までのソフトタイヤ勢は少しずつラップタイムが落ちてきたものの、まだピットには向かわず長らくこう着状態が続いた。そんな中先頭の山本は1分8秒台のタイムで走行を続け、2番手のアウアーに対して5秒以上のギャップを築いた。そしてタイヤ交換を済ませたなかでトップの野尻とのタイム差は34周目には42.6秒となり、山本は序々に野尻との差を広げていく。

 後方では、6番手の関口が1分9秒台のタイムで背後に迫る中嶋からポジションを守り続けていた。さらにその後ろでは、10番手のキャシディと11番手の可夢偉がレース前半からポジションを争っており、51周目のストレートから1コーナーに向かうところで可夢偉はキャシディのインを奪い、ようやく10番手に浮上した。

 レース後半の50周目を終え、ニューウェイがピットへ入った。しかし給油リグを差し込んだ瞬間にマシンから出火してい、ニューウェイは急いでマシンから降りる様子が捉えられた。

 50周目の時点で山本とピットを済ませている野尻とのギャップは51.6秒に広がり、山本はピットストップのロスタイムの安全圏までタイムを稼ぐ。そして翌51周目には山本、関口、アウアー、牧野がタイヤ交換のためピットイン。ところが牧野はピットアウトの瞬間からマシンの挙動を乱し、ピットレーンの右コーナーを曲がり切れずにオーバーラン。そこからコースへ復帰した後もマシンが左右に振られるような状態で走行を続け、2周ほど走行したところでもう一度タイヤをすべて交換してコースへ復帰した。

 さらに56周目、野尻が1コーナーでアウアーをオーバーテイクしようとイン側から試みたが、止まりきれずにスピンを喫してグラベル上でストップしてしまった。これにより、このレース最初のセーフティカーが導入された。ここまでタイヤ交換義務を果たしていなかったパロウもこの間にタイヤを交換して6番手でコースに復帰。また14番手を走行していた関口が2回目のピットストップを行い、ミディアムタイヤからソフトタイヤに履き替えた。

 野尻のマシンを撤去し、61周目にレースが再開。ところが再開直後に坪井がSPコーナーひとつ目のコーナリング中に単独スピンを喫してしまい、2度目のセーフティカーが導入された。

 坪井のマシンはコース脇の芝生の上に残されたままであったが、66周目にリスタートが切られ、残りは3周のスプリントレースに。ここで3番手に上がっていた可夢偉が周回遅れのマシンを利用し、2番手のアウアーを4コーナーでアウトからオーバーテイクして2番手に浮上した。

 一方トップの山本はミディアムタイヤでも好調なペースを維持し最後は2番手に3.1秒のギャップを築いて、ポール・トゥ・ウィンで今シーズン初優勝を飾った。

 リスタート直後にポジションを上げた可夢偉が2位に入り今シーズン初の表彰台を獲得。終盤はアウアー、キャシディ、パロウによる3番手争いが繰り広げられたが、アウアーがポジションを守りきり、ルーキーシーズンにしてスーパーフォーミュラでの初表彰台に挙がった。

 4位はキャシディ、以下パロウ、福住、山下、石浦までが入賞となった。リタイアしたのは坪井、野尻、ニューウェイの3名で、完走は17台。レース終盤までは淡々とした展開だったが、終盤に入るとバトルやアクシデント、順位変動が多くなり、2番手以下の争いが目まぐるしい展開に。その中でも前日の予選とは異なり、運営面でもレース内容でも、すっきりとしたフィニッシュとなった。

 なお、牧野はピットレーン出口の白線カットにより35秒のタイムペナルティを科された。また坪井もセーフティカー中のスピンにより35秒のタイムペナルティを科されたが、両者に順位の変動はない。しかしパロウはセーフティカーリスタート違反により35秒のペナルティを科され、5位から13位にリザルトが変更となった。