2019年のニュルブルクリンク24時間のスタートシーン 2019年のADAC・トタル24時間レース=ニュルブルクリンク24時間レースは6月22日、現地時間15時に決勝の火ぶたが切られた。スタートから12時間が経過し、レースはこのレースで圧倒的な強さをもつマンタイ・レーシングの911号車ポルシェ911 GT3 Rがリード。メルセデスAMG・チーム・マンフィルターの48号車メルセデスAMG GT3、フライカデリ・モータースポーツの31号車ポルシェ911 GT3 Rが続いている。
満場のグランドスタンドに詰めかけたファンが、拍手でフォーメーションラップに向かうマシンたちを送り出し、15時30分にスタートした2019年のニュルブルクリンク24時間。ホールショットを決めたのは前日ポールポジションを奪ったマーロ・エンゲルのメルセデスAMG・チーム・ブラックファルコン2号車メルセデスAMG GT3。しかし、ケビン・エストーレ駆る911号車、そしてパトリック・ピレが駆る1号車と、マンタイ・レーシングの2台のポルシェがこれを追った。
序盤からハッツェンバッハでクラッシュ車両が出たりと荒れ模様の展開だが、一度目のピットインを終えると、トップに立ったのがフレデリック・マコウィッキが乗り込んだ1号車ポルシェ。上位は2号車メルセデスAMGと911号車、1号車という2台のマンタイの戦いになるかと思われたが、1号車は右リヤタイヤのバーストで後退してしまう。
一方、ドイツ勢のなかでも序盤からツキがない展開となってしまったのはBMW勢。BMWチーム・シュニッツァーの42号車は1周目から接触でスピンを喫したほか、ブリュンヘンでラップダウンをかわそうとした際に接触。2台は激しくクラッシュしてしまう。このガードレール補修のために、ブリュンヘンは長い間、速度を60kmに制限するコード60が出された。BMW勢では、ローヴェ・レーシングの2台も早々に戦線離脱。また、1時31分にはワーケンホルスト・モータースポーツの100号車オイルに乗ったかクラッシュし、メディアセンターのBMW広報もサーキットを後にしてしまった。
また、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが加入していたKCMGの38号車ニッサンGT-RニスモGT3は、ドッティンガー・ホーエでコード60が出されていた際に減速したものの、後方から来たマシンに激突されリタイアを喫するなど、序盤から今季のニュルは非常にクラッシュの多いレースとなった。
レース中盤に向けて、トップ争いは911号車ポルシェと2号車メルセデスの争いになるかと思われたが、23時過ぎ、ウヴェ・クリーンがドライブする90号車GRスープラが、1コーナーで首位を走っていたアダム・クリストドウロウ駆る2号車メルセデスとヒットしスピン。メルセデスもガレージへ入れられてしまい、ダメージはそこまで大きくはなさそうに見えたものの、リタイアとなってしまった。一方、GRスープラはダメージがそこまで大きくはなかったようで、コースに戻っている。
■レースはマンタイ911号車がリード。日本車GT3も追い上げみせる
この2号車メルセデスの脱落により、2番手には予選3番手だったメルセデスAMG・チーム・マンフィルターの48号車が浮上。序盤から快調なペースで飛ばす705号車SCG003Cと順位を入れ替えながら走行していたが、1時29分に705号車はガレージへ。12時間経過時点では、マンタイの911号車が首位。48号車メルセデスが2番手、そして後方からジワジワと順位を上げてきたフライカデリの31号車ポルシェが続いている。
日本勢では、トム・コロネル/松田次生/藤井誠暢/高星明誠組の45号車ニッサンGT-RニスモGT3は、序盤から着実に走行。大きなアクシデントやトラブルはなく、唯一左側の追加ライトが点かなくなる状況のみで追い上げをみせており、12時間終了時点では総合14番手につけトップ10をうかがう活躍をみせている。
一方、同じくSP9クラスに参戦する吉本大樹/ドミニク・ファーンバッハー/マルコ・シーフリード/ミハエル・ティシュナー組レーシングプロジェクトバンドウ×NOVEL Racingの19号車レクサスRC F GT3は、こちらも大きなトラブルなく走行を重ねており、こちらも総合19番手に進出。さらなる上位進出を目指している。
SP3Tのスバルテクニカインターナショナルのカルロ・バンダム/ティム・シュリック/山内英輝/井口卓人組88号車スバルWRX STIは、途中ティム・シュリックのドライブ中、4号車アウディR8 LMSとヒット。わずかにダートを走ったが、こちらは大きなダメージはなく、順調に走行を重ねている。12時間を過ぎ、総合31番手・クラス首位にまで浮上。GT4カーやカップカーを食う活躍をみせている。
佐々木雅弘/ウヴェ・クリーン/ヘルヴィク・ダーネンス/“モリゾウ”組TOYOTA GAZOO Racingの90号車GRスープラは、モリゾウがスタートを担当。日があるうちに2回のスティントを終え、先述のクリーンのアクシデントによる不調はなく周回を重ねている。総合90番手・SP8Tクラスでは2番手だ。
SP-PROに参加しているTOYOTA GAZOO Racingの土屋武士/蒲生尚弥/松井孝允/中山雄一組56号車レクサスLCは、序盤は速さもみせ、着実に走行を重ねていたものの、23時過ぎにクラッチの不調を訴えガレージイン。ミッションのオイル漏れのようで、長い修復に入り、2時間の作業を経てコースに戻った。総合95番手となっている。
今季のニュル24時間は晴天でドライのレースとなっているが、そのなかでも非常にアクシデントが多く、コード60が多発。そのたびにタイヤが冷えてしまうようで、各チームともウォームアップやピックアップに苦戦している様子だ。