ホンダの新しいパワーユニット(PU/エンジン)であるスペック3を投入した初めての予選は、レッドブル・ホンダにとって、期待していたとおりの結果にはならなかった。
厳しい戦いは、いきなりQ1から始まった。Q3でフェラーリやメルセデスと対抗するためには、2セットの新品ソフトタイヤを温存しておきたい。そのためにはQ1とQ2で使用するソフトはそれぞれ1セットずつ。しかし、1セット目のアタックでQ1を突破するために十分なタイムを刻むことができなかったピエール・ガスリーは、Q1から2セットのソフトタイヤを使わなければならなかった。
マックス・フェルスタッペンは結果的に1セットだけでQ1は突破したものの、14番手。不通過となった16番手のダニール・クビアト(トロロッソ)との差はわずかコンマ2秒だった。
Q2に入ると、レッドブルの2台は戦略が別れた。フェルスタッペンがミディアムタイヤでコースインしたのに対して、ガスリーはこの日、3セット目となる新品のソフトタイヤを履いて出て行った。
「フリー走行3回目は6番手でそこそこ競争力があった。でも、セッション後にいくつか変更したら、Q1で突然グリップ不足に悩まされた。このままではミディアムを履いてQ2は突破できないと判断して、ソフトで行くことにした」
その判断自体は間違いでなかったことは、ソフトタイヤに履き替えても、ガスリーのペースは想定していたものより上がらず、10番手だったことからもわかる。11番手のアレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)とはわずか100分の2秒差だった。
しかし、FP3から競争力を失っただけでなく、新品のソフトタイヤが1セットしか残っていないガスリーは、Q3までに新品のソフトタイヤを2セット残していた多くのライバル勢たちとは勝負にならず9番手に終わった。
「チームメイトのタイムを見れば、もっといい結果を出せたはずだから、9番手という予選順位はとてもがっかりだよ。しかも、僕はソフトでスタートし、僕より前からスタートする8人はみんなミディアムだから、レースは簡単にはいかないのもわかっている。でも、ここは母国グランプリだから、ファンのために最後まであきらめるつもりはない」(ガスリー)
■Q3最後のアタックでミスがあったマックス・フェルスタッペン
Q2をミディアムタイヤ1セットのみのアタックで6番手で通過したフェルスタッペンは、ガスリーとは異なり、Q3で新品のソフトタイヤを2セット使うことができた。しかし、最後のアタックをまとめることができなかった。
「最後のラップはクリーンではなかった。最後の数コーナーで何かが起きて、クルマの挙動がおかしくなった。レースに向けて、これから確認しなければならない」と言うフェルスタッペンは、4番手を確保したものの、マクラーレンの新人ランド・ノリスとわずか1000分の11秒差だった。
しかし、フェルスタッペンは、「セクター3でのミスがなければ、フェラーリにもっと近づけたし、マクラーレンとも0.3から0.4秒は離せたと思うから、レースはフェラーリと表彰台を賭けた戦いができるだろう」と前向きだ。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、スペック3のここまでのパフォーマンスについて、次のように語った。
「金曜から土曜日にかけて、パワーユニットのセッティングをさらに煮詰めて、フリー走行3回目では予選モードでの走行も確認しました。今回投入した3台のスペック3のパワーユニットは、ここまで問題なくスムーズに機能しています。明日のレースでもきっちりと走り切りたいと思います」