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レッドブル・ホンダF1密着:パワーが確実に向上したスペック3で今後の開発に向けて大きな一歩

2019年06月22日 10:01  AUTOSPORT web

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2019年F1第8戦フランスGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
ホンダがスペック3となるパワーユニット(PU/エンジン)を投入した。投入されたのはレッドブル・ホンダの2台と、トロロッソ・ホンダのダニール・クビアトの合計3基。

 アレクサンダー・アルボンへの投入を見送ったのは、トロロッソのふたりは前戦カナダGPまでにすでに3基のICE(内燃機関)を使用しているため、スペック3を入れると4基目となって最後尾スタートとなる。2台そろって最後尾からスタートすることを避けるためだった。

「カナダGP後に、イギリスのHRD MK(ミルトンキーンズにあるホンダの拠点)で、われわれのパワーユニット開発進捗状況とチーム側の車体の開発状況、そしてわれわれがここまで使用してきたパワーユニットの状況を総合的に判断して、チームからの合意を得て、ここに3台の新しいパワーユニットを投入することに決めました」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)

 さて、今回のスペック3は、どこが改良されたのか。田辺TDは次のように説明する。

「昨シーズンからわれわれホンダは、F1のPUパフォーマンスを上げるために、オールホンダ(研究所全体)で開発をしてきており、今回のスペック3には航空エンジン研究開発部門の技術を適用できる目処が立ち、その技術をこれまでIHIと取り組んできたターボにおける空力設計に摂り入れることで、ターボチャージャーの効率が上がりました」

 航空エンジン研究開発部門とは、ホンダ・ジェットのことだ。じつはホンダ・ジェットの技術は昨年もMGU-H(熱エネルギー回生システム)に採り入れられており、パワーユニットの信頼性向上に大きく貢献していた。

 今回の技術はターボチャージャーの効率が向上しているということなので、パフォーマンスアップが目的であることは間違いない。だが、「今回のアップデートではまだ上位のPUマニュファクチャラーに追いつくだけのパフォーマンスレベルには至っていないと考えています」と田辺TDは控えめだ。

 ただし、今回のスペック3が今後の開発に向けて大きな一歩になることは間違いない。なぜなら、パワーを上げるために燃焼効率を上げると、排気によってターボを稼働させる力が下がるため、ターボチャージャーの効率アップが不可欠となるからだ。

 田辺TDは「主な変更はターボチャージャーですが、それに合わせてICEも改良しています」と言う。そして、こう続けた。「チームからは『いつもいいモノを持ってこい。パワーが上がれば、いつでも入れたい』と言われている」という。

 つまり、スペック3は、パワーも確実に向上している。