フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、2019年シーズンにメルセデスに挑むためには、まだ数回のアップグレードが必要だと考えている。
第7戦カナダGPを終えた時点で、フェラーリはコンストラクターズランキングにおいて、トップのメルセデスから123ポイント離されている。またドライバーズランキングでは、トップのルイス・ハミルトン(メルセデス)と3位のセバスチャン・ベッテルの差は62ポイントだ。
ビノットは、今週末の第8戦フランスGP以降の数レースにおいて、フェラーリの状況が改善するとは期待していないという。
「タイトルについては、今私が疑問に思っていることではない」とビノットは『Auto Motor und Sport』に話した。
「我々がどのサーキットであれメルセデスに挑戦できるようになるには、2回か3回のアップグレードが必要になるだろう」
フェラーリはフランスGPをはじめとして、続くオーストリアGPとイギリスGPでもアップグレードを投入する予定だ。しかしこれらのアップグレードをもってしても、ライバル勢と同じ立場に立つのに十分ではないかもしれない。
プレシーズンテストの時点ではメルセデスよりも優位な状況にあったフェラーリだが、ビノットは、今年のマシンコンセプトに基本的なミスがあったことに問題があると認識している。
「単純にバルセロナでのテストとレースを比較すると、あるひとつの理由により、我々はより悪い方向へと向かってしまった」
「間違った方向性に向かってマシンを開発したのだ。というのも、我々がこのパッケージの弱点と限界の判断を誤ったからだ」
また2019年は昨年よりもトレッドの薄いタイヤが導入されたこが、ビノットによると、これがフェラーリの抱える問題の核心だという。
「我々のマシンのコンセプトは、今シーズンのタイヤには適していない。それに最大限のダウンフォースのことを考えても、このマシンはベストなものではない」
「ダウンフォースが不足して以降、我々はタイヤを温め、最適なグリップを発揮できるような作動温度領域内に保つことが難しくなっている」
多くのチームにとって、レースでタイヤを適切な作動温度領域にまでもっていくことは、ひとつの悩みの種となっている。とりわけ、ハースがこの問題に悩まされている。
今シーズンのレギュレーションはメルセデスにとって好ましいものではないものの、タイヤを機能させることに関しては、メルセデスは他のチームよりも優れたマシンを持っていることを証明した。
それでもビノットは、SF90の持つ問題を解決できると確信している。
「問題を正しく認識し、最善の方法でそれに対応することが最優先事項だ。そうすればできる限り早く、もう一度強さを取り戻すことができるはずだ」
一方でメルセデスは、フェラーリはパワーユニットのエクストラモードを使うことでスピードのアドバンテージを得ていると示唆。第7戦カナダGPでは、ベッテルとシャルル・ルクレールがストレート上で0.4秒のアドバンテージを得ていたと考えているという。