10年ぶりに復活した2018年のフランスGPでは、3人のフランス人ドライバー(エステバン・オコン、ピエール・ガスリー、ロマン・グロージャン※)が木曜日のFIA会見に出席し、会見前にスリーショット撮影会が行われた。しかし、その3人があろうことかレースで同士討ちを演じてしまった。
(※グロージャンは、スイス国籍でライセンス登録しているが、フランスとの二重国籍)
今年はオコンがシートを失い、フランス人ドライバーがふたりだけになったこともあり、撮影会は行われなかった。ただし、会見はレッドブル・ホンダのガスリーからスタートした。
「昨年は僕にとってフル参戦した初めてのシーズンで、その年にフランスGPが10年ぶりに復活したことは本当に幸運なことだった。その地元グランプリに再び帰ってくることができてうれしい。昨夜はジュール(・ビアンキ)と彼の家族のためにサッカーの試合を行った後、(昨シーズンWRCラリーで6連覇した)セバスチャン・オジェのコ・ドライバーを務めるイベントにも参加したよ」
その隣に座っていたグロージャンは、ホームレース用に新しいデザインのヘルメットを用意したことを明かした。
「昨年もフランスGPはトリコロールカラーの特別仕様でレースしたけれど、今年はちょっと違うデザインにしようと考えていた。そこでリシャール・オルリンスキーに連絡を取って今年のヘルメットのデザインをお願いしたんだ。僕は以前から彼の作品が大好きで、サーキットにもたくさん彼の作品があるから、みんなもよく見かけているはずさ」
「トロフィーもそうだし、表彰台の横に立っている真っ赤なゴリラもリシャールがデザインしたものだよ。そんな彼から『デザインしてもいいよ』という返事が来たときは本当に興奮したよ。もちろん、出来上がりにも満足している。これまで僕が使用してきたものとはまったく違う独創的なデザインで、最高にイカしているね」
リシャール・オルリンスキーはパリ在住のフランス人芸術家で、彼が創るポップアートは世界中から人気を得ている。
ふたりのフランス人とともに出席していたのは、ドイツ人のニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)とスペイン人のカルロス・サインツJr.(マクラーレン)、そしてイタリア人のアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)だ。
フランスチームのルノーに所属するヒュルケンベルグには、地元記者から「今回、ルノーは大幅にマシンをアップデートしています。新生ルノーにとっても、そしてあなたにとっても、初の表彰台を狙うチャンスだと思いますが……」という質問が飛んだ。ヒュルケンベルグは少し困った表情でこう答えた。
「僕もそう願いたいけど、表彰台はまだ少し遠いかな。僕たちもアップデートしたけど、ライバルもアップデートしているからね。トップ3がかなり先行している現時点では、4番目のチームになることが現実的な目標だ。ただ、フランス・チームの一員として、今週末、誇りを持って戦うことを誓うよ」
続いての質問も地元フランスの記者。スペインGPが今年限りになってしまうことについて、サインツへの質問だった。サインツは「もし消滅したら、それはスペイン人にとってだけでなく、F1にとっても大きな損失」と言い、さらにここ続けた。
「バルセロナでのスペインGPは、シルバーストン(イギリスGP)やスパ(ベルギーGP)と同じように、F1には欠かせない伝統となっているからね。それが政治的、経済的な問題でなくなってしまったら、F1界にとって悲しむべき事態だね」
ジョビナッツィには、先週受賞したロレンツォ・バンディーニ賞についての質問が。ロレンツォ・バンディーニ賞は1967年のモナコGPで、レース中の火災事故で亡くなったロレンツォ・バンディーニを称えて創設されたもので、これまで、ミハエル・シューマッハーやフェルナンド・アロンソ、キミ・ライコネン、ジェンソン・バトン、ジャック・ビルヌーブ、セバスチャン・ベッテル、ルイス・ハミルトンらが受賞してきた。
「偉大なドライバーたちが受賞してきたトロフィーを受け取ったときは信じられなかったし、本当に最高の気分だった。いまはこの賞に恥じないよう、さらに良いドライバーになることを誓うよ」
授賞式は6月15日に、イタリアのブリジゲッラで行われ、授賞式の後、ジョビナッツィは1万5千人以上のファンが詰めかける中、2019年のアルファロメオカラーに彩られたF1マシンを走せらせた。
「約13km走ったよ。しかも一般道さ。最高の一日だったよ!!」