F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。今回は、2018年シーズンまでトロロッソ・ホンダのドライバーとして戦い、今年からフェラーリのシミュレータードライバーに就任したブレンドン・ハートレーに注目した。
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F1の第7戦カナダGPに、ブレンドン・ハートレーが訪れていた。昨シーズン終了後にトロロッソのシートを失ったハートレーは今年、スクーデリア・フェラーリのシミュレータードライバーとして、パスカル・ウェーレイン、アントニオ・フォッコ、ダビデ・リゴンとともに、マラネロで開発作業に従事している。
トロロッソのブルーから、フェラーリの真紅のチームウェアに身を包んでサーキットに現れたハートレーは、さっそくフェラーリのマーケティング活動に駆り出されていた。
フェラーリがカナダGPに招待したNHL(北米アイスホッケーリーグ)で地元カナダ・モントリオールのチーム、モントリオール・カナディアンズに所属するライアン・ポーリング選手とのツーショット撮影会だ。
フェラーリでの仕事を終えた後、ハートレーが向かったのが、昨年まで共にF1を戦った古巣のトロロッソだった。女性広報2人とチームマネージャーのグラハム・ワトソンと談笑するハートレー。フェラーリのチームウェアを着ていたので、写真撮影はNGかなと思いながらも「写真を撮らせてほしい」とお願いすると、「いいよ、みんな集まって」と喜んで撮影に応じてくれた。その対応にトロロッソの広報も喜んでいて、「あとで私たちにその写真をメールしてね」とお願いされたほどだった。
ハートレーといえば、日本食が好きでトロロッソ・ホンダ時代は毎日ホンダのモーターホームで日本食を食べていた。しかし、カナダGPではホンダのホスピタリティハウスで日本食を楽しむことはなかった。ハートレーはその理由を「本当は食べに行きたかったんだけど、フェラーリのウェアを着ているから……」と言うが、本当の理由は別なところにあったのではないかと推測する。それは今年の5月1日に、トヨタが今シーズン限りでWEC(世界耐久選手権)チームから離脱するフェルナンド・アロンソの後任として、ハートレーを起用すると発表したからだ。
2017年から2018年にホンダと共にF1を戦ったハートレーは、TOYOTA GAZOO Racingの一員として、中嶋一貴、小林可夢偉、セバスチャン・ブエミ、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスと組む。2019-2020年シーズンのWECは、3カ月後の9月1日にイギリス・シルバーストーンで開幕する。
ハートレーの新天地での成功を祈りたい。