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Facebookが個人情報管理問題で窮地に? 新たな事実が続々噴出

2019年06月19日 07:11  リアルサウンド

リアルサウンド

 Facebookが調査アプリにより、過去に187,000人のユーザーの個人情報を収集していたことがわかった。同アプリは過度にユーザーの端末データを収集しているとして、すでにApp Storeから締め出されており、Facebookは今月、Google Playのみで入手できる新たな調査アプリをローンチ。ユーザーデータの収集の仕方について、より透明性を保つとしているが、具体的な数字が明らかになったことで、あらためて波紋を広げている状況だ。


(参考:Facebook、10月にスマートディスプレイを発売? Instagramもスマートスピーカーに対応か


・ご法度なアプリで端末データを収集
 TechCrunchが報じた内容によると、Facebookは2016年頃から、この調査アプリでウェブ閲覧履歴、暗号化されたメッセージ、モバイルアプリ使用履歴など、「ユーザーが普段どの様に端末を使用するか」という習慣についてのデータを収集したという(記事タイトル:Facebook collected device data on 187,000 users using banned snooping app)。


 具体的な数字は、同社がアメリカ合衆国上院議員のリチャード・ブルメンサル氏の事務所宛てに送った手紙に記されていたことで、明らかになった。ブルメンサル氏の質問に回答する形で送られた手紙によれば、同アプリが利用されたプロジェクトの実施期間において、約187,000人の調査データを収集したと見積もられ、うち約34,000人が13歳から17歳の未成年だったという。また、米国のユーザーは約31,000人を占めていた。


 Facebookのパブリック・ポリシー担当バイス・プレジデントのケヴィン・マーティン氏は、調査アプリによるユーザーデータの収集について「比較的よく知られた業界の慣行だった」とコメントし、アプリによる情報収集に問題はなかったと主張している。


 しかし、ブルメンサル氏は「Facebookは、アプリによる消費者プライバシーの侵害、プラットフォーム上の重大な乱用という問題が解決する前に、市場調査プロダクトを再導入した」と、プライバシー保護を軽視しているとも受け取れるFacebook社の体質を指摘。政府機関からも重大な問題と捉えられており、米国連邦取引委員会とアメリカ合衆国司法省は現在、Facebookをはじめ、Apple、Amazon、Googleを所有するAlphabetといったテクノロジー大手企業4社を調査中だとされる。


・FacebookのCEOが情報問題を把握していた?
 また、The Wall Street Journalは6月12日、現在調査中だという「Eメール」の内容が、FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏が、この個人情報問題(問題のある慣行)に関与していたことを示唆しており、これが公になるとFacebookに大打撃となると報じた(記事タイトル:Facebook Worries Emails Could Show Zuckerberg Knew of Questionable Privacy Practices)。


 Facebookのスポークスマンは、「弊社は、FTC(米国連邦取引委員会)の調査に今まで全面的に協力しており、数万点の書類、Eメール、ファイルを提出しています。マーク・ザッカーバーグやFacebookの他のいかなる従業員も、故意に義務に違反するようなことはしませんし、それを示唆するようなEメールも存在しません」と、そのEメールの存在を否定している。事実関係はまだ定かではないが、いずれにしても情報管理スキャンダルはFacebookの頭痛の種になっており、米国連邦取引委員会に最高で50億米ドルを支払い、収束させたい意向も持っているとも報じられる。しかし、このような記録的な罰金でも、Facebookにとっては痛くないとし、厳罰に処すべきだとの声も聞かれる状況だ。


 ソーシャルメディアブームに火をつけ、IT時代の寵児として、もてはやされてきたFacebookと創業者のマーク・ザッカーバーグ氏だが、ここにきて窮地に立たされている。同社もプライバシーとセキュリティーへの対応が遅すぎたことを認めているが、果たして、この危機を乗り越えることができるだろうか。


(Nagata Tombo)