6月17日、ACOフランス西部自動車クラブは第87回ル・マン24時間レースで、LM-GTE Amクラス優勝を果たしたキーティング・モータースポーツの85号車フォードGTならびに、GTE Proクラス4位となったフォード・チップ・ガナッシ・チームUSAの68号車フォードGTに失格処分を科したことを明らかにした。
ベン・キーティング率いるキーティング・モータースポーツは、北米で開催されているスポーツカーシリーズ、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTデイトナ(GTD)クラスを主戦場とするチームだ。
同チームは6月12~16日、フランスで行われた2019年ル・マン24時間に、GTE Amチームとして初めてフォードGTを持ち込み、15日15時から24時間に渡って争われた決勝レースで、見事クラス優勝を飾っていた。
しかし、レース後の月曜日、そのフォードGTに燃料タンク容量と燃料補給時間に関するレギュレーション違反が発覚。キーティング・モータースポーツの85号車は失格処分を受け、初のクラス優勝を失うことになった。
FIA国際自動車連盟のスチュワードレポートによると、イェルーン・ブリークモレン、フェリペ・フラガ、そしてオーナー兼ドライバーのキーティングの3名によってレースを戦った85号車は、レース中の給油時間が規定の45秒に達していなかったという。後に給油システムの検査が行われた結果、同チームの給油機は44.4秒で運用可能であることが確認されている。
このため、85号車フォードには基準に足りない0.6秒にピット回数の23、それにペナルティ分の4を掛けた55.2秒のタイム加算ペナルティが課せられ、同車はクラス2番手に降格することとなった。
しかし、85号車フォードは前述のペナルティに加えて、燃料タンクの最大搭載燃料量がBoPで定められた96リットルから、わずか0.1リットル超過していたことが判明する。この車両規定違反によって、GTE Amのニューカマーは失格処分を受けることになった。
裁定について、チームを率いるキーティングは控訴を行わない考えだ。彼はチームが故意に違反したことを否定しながら、「システムに充分な余裕をもたせていなかった」と責任を認めている。また、燃料タンクについては「レース開始前はたしかに96リットルだったことを確認している」とし、なぜ容量が増えてしまったのかは分からないと語った。
悲劇的な事件の後、最終的な順位はクラス2位でチェッカーを受けたチーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ911 RSR(ヨルグ・ベルグマイスター/パトリック・リンゼイ/エギディオ・ペルフェッティ)が繰り上がりでGTE Amウイナーに。JMWモータースポーツの84号車フェラーリ488 GTEがクラス2位、ウェザーテック・モータースポーツ62号車フェラーリが同3位に繰り上がっている。
また、GTE Proクラスでは、フォード勢最上位の4位となったフォード・チップ・ガナッシ・チームUSAの68号車(ジョーイ・ハンド/ディルク・ミューラー/セバスチャン・ブルデー組)が85号車と同様に、燃料タンク容量違反で失格となっている。