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息子が「車検切れの車」を運転…激怒した親は「社会的制裁を受けるべき」

2019年06月18日 10:11  弁護士ドットコム

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車検の時期が近づくと、支払いが憂鬱になり「車検切れの車に乗ってもいいじゃないか」という思いがよぎる人もいるかもしれない。しかし実際に、それをやったらどうなるのか。


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弁護士ドットコムに「息子が車検切れの車に乗っています」と、相談が寄せられた。息子にはなんども注意したが、応じないという。そこで親として「自分さえ良ければいいという考え方の息子は、社会的制裁を受けるべき」と考えるようになった。



車検切れの車を運転することに、どのような問題があるのか。山岡嗣也弁護士に聞いた。



●無車検運行・無保険運行で、30日の免許停止

「まず、有効な自動車検査証(車検証)の交付を受けている自動車でなければ、運転してはいけません(道路運送車両法58条1項)。車検切れの車を公道で走らせた場合、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます(同法108条)。



また、自動車損害賠償責任保険(または共済)の契約が締結されている自動車でなければ、走らせてはいけません(自動車損害賠償保障法5条)。自賠責保険切れの車を走らせた場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(同法86条の3)」



車検切れの車に乗っている人が、無保険であっても不思議はなさそうだ。無保険の場合は、どうか。



「自賠責保険切れの場合は車検も切れていることがほとんどでしょう。そのため、二つの罪を犯したとして、併合罪として1年6月以下の懲役または80万円以下の罰金に処されます(刑法47条、48条)。



刑罰の他にも、無車検運行及び無保険運行は、いずれも6点の点数が付く違反行為となります(道路交通法施行令別表第2、なお、無車検運行及び無保険運行を同時に行っても6点です)。このため、これだけで30日の免許停止(前歴がない場合)の処分を受けます」



●無保険状態で交通事故を起こすと…

ほかにも懸念されることはないのか。



「最も怖いのは、無保険状態で交通事故を起こし、被害者に重大な損害を与えた場合です。この場合、被害者への損害賠償金を全て自己負担にて賄うことになります。



なお、相談の例では、車の所有者が親か息子かわかりませんが、親の所有であった場合、親も被害者の人身損害に責任を負うことになりますので、注意が必要です。



刑事事件としては、交通事故で被害者に傷害を与えた場合に過失運転致死傷罪などの罪に被害弁償できないことは情状としても大変不利に働くことになります。車検と自賠責の満期にはくれぐれも注意しましょう」




【取材協力弁護士】
山岡 嗣也(やまおか・つぐや)弁護士
関西大学法学部卒。平成18年弁護士登録。広島弁護士会。
広島県呉市の弁護士。主な著作(共著)は、「Q&A会社のトラブル解決の手引」(新日本法規出版)、「談合被告事件・副市長の職を奪った冤罪事件」(季刊刑事弁護2009年60号)
事務所名:山岡法律事務所
事務所URL:http://www.yamaoka-law.jp/