第4戦にして今季初勝利を飾った連覇中の王者、ファクンド・アルドゥソとルノー・フルーエンスGT ブラジルの人気シリーズ、SCBストックカー・ブラジルと並んで南米を代表するツーリングカー選手権として知られるアルゼンチン、スーパーTC2000(STC2000)の2019年シーズン第4戦がロザリオで開催され、ディフェンディングチャンピオンのファクンド・アルドゥソ(ルノー・フルーエンスGT)が覚醒。今季初のポールポジションからポール・トゥ・フィニッシュを果たし、シーズン初勝利を挙げるとともに、ルノースポール勢がワン・ツー・スリーを決めている。
これまで長い歳月にわたり、スズキの2輪スーパースポーツ"隼"のエンジンをベースとした、イギリス・ラディカル社製の2.7リッター自然吸気V8を搭載してきたシリーズは、2019年シーズンから新たにフランス・オレカ製の最新直噴4気筒ターボの2リッターワンメイクエンジンを搭載し、新たな時代を迎えている。
その開幕戦から強さを見せたのは、チャンピオンチームのルノースポール・アルゼンティーナながら、連覇を果たしたアルドゥソではなくチームメイトのリオネル・ペーニャが主役へと躍り出て、開幕からの連続ポールと連勝を手にしてきた。
さらに前戦のラウンド3では、今季からTOYOTA GAZOO Racing YPF Infiniaとチーム名称を変更したトヨタ勢も速さを見せ、エースのマティアス・ロッシ、ジュリアン・サンテロがカローラSTC2000でワン・ツーを達成。対する王者はスタートでストールを喫し、後続車両の追突でマシン大破の憂き目に遭うなど、まったく流れを引き寄せられないレースが続いていた。
しかし第4戦を迎えたロザリオでは状況が一変。予選Q1から主導権を握ったチャンピオンは、新たにQ1の4~6位から出走と手順が改められたQ2スーパーポールセッションでも動じず、ペーニャとマティアス・ミラ(ルノー・フルーエンスGT)の僚友を従えて1分38秒120のトップタイムをマーク。シボレーYPFの2016年王者アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)や、前戦勝者のロッシ、サンテロのトヨタ勢を2列目、3列目に退け、ルノー艦隊がフロントロウから3番手までを独占する形となった。
その勢いは明けた日曜の決勝でも変わらず。昨季までの2595mレイアウトから4000mにまで延伸されたトラックでフロントロウ2台が順調なスタートを決めると、3番手のミラをかわしたカナピノがターン2で2番手を狙ったところを返り討ちにし、元王者のシボレーを9番手にまで撃退することに成功。
2周目には開幕で速さを見せながら最低重量違反で涙を飲んでいたシトロエンのマルセロ・チャロッキ(シトロエンC4ラウンジ)と、フィアットDTAレーシングのファビアン・シャナンツォーニ(フィアット・ティーポSTC2000)がクラッシュを喫するも、セーフティカーは出動せず。
そうした展開にも助けられ、逃げを打つ3台のルノーを尻目に後続ではサンテロのカローラにブレーキトラブルが襲い、ホンダ・レーシング・アルゼンティーナのホセ-マニュエル・ウルセラ(ホンダ・シビックSTC2000)は接触によりブラックフラッグが振られるなど、トップ10圏内ではアクシデントが多発。
残り10周の時点で首位アルドゥソと2番手ペーニャは0.5秒の間隔を維持し、3番手ミラが少し遅れて続く展開に。その後、ミラのペースがわずかに落ち4番手ロッシのトヨタに迫られるが、ラスト3周の攻防でもポジションチェンジには至らず。
25周のレースは王者アルドゥソが2019年シーズン初勝利をポール・トゥ・ウインで飾り、ペーニャ、ミラのルノー勢が表彰台を独占。トヨタのロッシが4位、シボレーのカナピノが5位まで挽回してのトップ5となった。
続くSTC2000のシリーズ第5戦は、ウルグアイに国境を接する同国東部パラナ州のエントレ・リオスが舞台に。6月29~30日のイベントでチャンピオンシップが同地を訪れるのは2011年以来となり、STC2000のシリーズ名称でのレースは初の開催となる。