MotoGP第7戦カタルーニャGP決勝レース、2周目10コーナーで起こった多重クラッシュ。その引き金となる転倒を喫したホルヘ・ロレンソ(レプソル・ホンダ・チーム)を含め、上位走行中の4名のライダーが転倒リタイアとなった。このアクシデントについて、当事者たちが状況を説明する。
状況を整理してみよう。アクシデントが発生したのは2周目の10コーナーだった。2番手のマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が、トップのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ミッション・ウィノウ・ドゥカティ)を、このコーナーの進入でオーバーテイク。マルケスがトップでコーナーに入った。
転倒が起こったのはその直後だ。実はこのとき、4番手だったロレンソが3番手のマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)のインを突いていた。そして、マルケスに交わされたドヴィツィオーゾのリヤに、ビニャーレスをパスしようとしていたロレンソがフロントを失って転倒しながら接触した。
ロレンソとドヴィツィオーゾは転倒し、そのアウト側にいたビニャーレスも滑ってきたロレンソのマシンにヒットして転倒。さらに5番手のバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)も同じく、ロレンソのマシンを避けきれず、コース外で転倒した。ここで、上位を走っていたドヴィツィオーゾ、ロレンソ、ビニャーレス、ロッシが転倒リタイアを喫することになったのだ。
ロレンソと最初に接触したドヴィツィオーゾは「あの転倒についてコメントはしたくない。ただ、あの時点までレースはうまくいっていた」と、ノーコメントの姿勢。ただ、MotoGP公式サイトのコメント動画のなかで、「ロレンソはビニャーレスをパスしようとしてインに入り、走行ラインを失った。彼は少しばかりハードブレーキングをして、そして転倒した」と、転倒時の様子を振り返っている。
転倒したロレンソのマシンに接触して自らも転倒したビニャーレスは「誰かがインサイドにかなりの速さで飛び込んでくるのを見て、バイクを起こそうとしたよ」と言い、転倒を避ける努力をしていたという。
「ドヴィは僕の前にいて、ロレンソとドヴィツィオーゾのふたりがクラッシュするのだと思った。けれど残念なことに僕のリヤタイヤにもヒットして、僕はマシンから放り出された。避けられなかったよ」
最後にクラッシュしたロッシはこの直前にダニロ・ペトルッチ(ミッション・ウィノウ・ドゥカティ)をオーバーテイクし、5番手で10コーナーに進入していた。
「目の前のクラッシュと同じことが僕にも起こった。ホルヘのバイクを避けられなかった」
一方、最初に転倒を喫し多重クラッシュの引き金となったロレンソ。「僕のミスだった、謝りたい」とロレンソは自分の過ちを認めている。
「ドヴィ、マーベリック、バレンティーノをリタイアさせてしまった。彼らのミスではない、僕の責任だ」
苦戦続きだったロレンソがトップグループを走行したのは久々のこと。しかし、その結末は苦いものとなった。