6月13~16日に行われた2019年WRC世界ラリー選手権第8戦イタリア。シリーズに参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTは、オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が総合首位で最終ステージに臨んだものの、ステアリングトラブルから後退。総合5位に終わり勝利を逃した。
15日(土)の競技3日目終了時点で25.9秒リードを築いていたタナクは、最終日に行われた4ステージのうち、SS16~18を危なげない走りで乗り切ると、リードを26.7秒として最終ステージのSS19へ臨んだ。
しかし、最終ステージをスタートした直後、タナクは「ステリングに違和感を覚え、動きが硬くなる感じがした」と言い、ペースを上げられず。ステージ途中にはハーフスピンするなど大きくタイムを失ってしまう。
重くなったハンドルと格闘し、ステアリングから手が離せなくなったタナクは、コドライバーのマルティン・ヤルヴェオヤにサイドブレーキの操作を預けながら、なんとかステージを走破。
しかし、タイムはステージ最速だったアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)から2分12秒7も遅れた7分6秒8だったため、総合首位から陥落。表彰台圏外の総合5位に終わった。
ただし、シリーズチャンピオンを争うセバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)やティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)よりも上位でフィニッシュしたこともあり、ドライバーズランキングでトップに浮上。第9戦フィンランドにはポイントリーダーとして臨む。
「最終ステージをスタートしてすぐ、ステリングに違和感を覚え、動きが硬くなる感じがした。そして走っている最中に固まり、ステアリング操作が難しくなった」とタナク。
「それでも何とか走り続けたが、大きくタイムを失い勝利も逃してしまった。とてもフラストレーションを感じたけど、悲しい気持ちはチームのメンバーと変わらない。全員がこのイベントのために努力をしていたから、このような結果になってしまったのは本当に残念だ」
「チームは必ず問題を解決してくれると確信しているし、これからも戦い続ける。ここまでタフなシーズンが続いているけど、昨年のこの時期と比べると選手権争いに関してはずっといいポジションにつけているよ」
「この後は少しだけラリーから離れて休みをとり、そしてまた戦いの世界に戻る」
チームメイトのクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)は総合8番手のポジションを守りきってフィニッシュ。競技2日目にデイリタイアし、大きく順位を落としたヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)は総合19位だった。
マシンの開発を目的に、このラリー・イタリア・サルディニアに参戦したユホ・ハンニネンは、SS16~18の3SSを走り、データを収集した。
なお、ラトバラはステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージのSS19で4位に入り、ドライバーズランキングポイント2点を持ち帰っている。
■トヨタのチーム代表、トミ・マキネン「我々は必ず復活してみせる」
チーム代表のトミ・マキネンは「今日はチームにとって、もっとも厳しい1日だった。ラリーウィークを通してクルマにはパフォーマンスと信頼性があったが、悲しいことに最後のステージで問題が起きてしまった」と述べている。
「もちろん、何が原因なのか現在調査を進めている。チームにとっては本当に残念な結果だが、我々以上にオット(タナク)とマルティン(ヤルヴェオヤ)は大きな失望を味わったはずだ」
「彼らは選手権のトップに立ちはしたが、本当ならば3連勝でさらにいい夏休みを過ごせたはずなんだ。数日は気持ちが晴れないかもしれないが、我々は必ず復活してみせる」
シーズン前半、厳しい戦いが続いたラトバラは「ラリーの序盤はとてもよかったが、全体的にはかなり厳しい週末となり、望んでいたようなラリーにはならなかった。しかし、しっかりと前を見据え、これからも戦い続ける」とコメント。
ミークは「ここ数戦、チームはとても強かったから、後半戦に関しても全力で戦いに臨むだろう」とシーズン後半戦に期待を示した。
連戦続きだった2019年のWRCは、このラリー・イタリア・サルディニア終わりでサマーブレイクに突入。次戦の第9戦は8月1~4日に行われるラリー・フィンランドだ。
フィンランド・ユバスキュラに拠点を構えるTOYOTA GAZOO Racing WRTにとって、このラリー・フィンランドはホームイベントと呼べる1戦。また、2017年、2018年とトヨタ勢が連覇している大会でもあり、大会3連覇にも期待がかかる。