定年後研究所は6月4日、70歳定年・雇用延長に関する調査結果を発表した。調査は4月下旬から5月初旬にかけて、定年制度のある組織に在籍する40~64歳男女516人を対象に行った。
70歳定年制を「歓迎できる」という人は42.6%。一方で「困惑・戸惑いを感じる」は38.2%、「歓迎できない」は19.2%と、否定的な人が多数を占めた。
歓迎派の最大の理由「収入を得られる期間が延びるから」
性別、年代別に見ると、歓迎派が多いのは男女ともに60代前半で、いずれも48.1%だった。
70歳定年を「歓迎できる」と答えた人に理由を聞くと、最も多かったのは「収入が得られる期間が延びるから」(82.7%)だった。2位は「60歳以降も、社会とつながりを持てるから」(38.2%)。3位は「年齢にかかわらず活躍できる社会になる気がするから」(36.8%)だった。
「困惑・戸惑いを感じる」人のうち65.5%は、収入を得られる期間が伸びることを好意的に見るものの、その分長く仕事をしなければならないことに難色を示した。お金と仕事のはざまで複雑な気持ちになっていることがうかがえる。また、34%は「会社にいられても好きな仕事ができるわけではない」と回答していた。
「歓迎できない」と答えた人にその理由を聞くと、「自分としては60歳あるいは65歳以降働きたくないから」(65.7%)が最多だった。2位は「一生働くことになりそうだから」(38.4%)だった。
50代女性「若手・中堅社員とうまくやっていけるか分からない」
実際に70歳定年制になった場合、65歳以降、どのような選択をするか聞いた。最も多かったのは「結局は70歳まで今の会社で働き続ける」(45.7%)で、「65歳以降は違う会社で働く」(17.8%)、「起業など、組織に頼らず働く」(7.6%)などを大きく上回った。
しかし、70歳まで今の会社で働く場合、「不安がある」と答えた人は96.1%にも上る。体力に関する不安は特に多く、63%が「体力が続かないこと」を理由に上げている。2位には「50代のときと同じようなパフォーマンスが発揮できるか分からないこと」(46.9%)、3位には「働く意欲が持てるかどうか分からないこと」(44.2%)が入った。
性別、年代別に見ると、50代女性では「若手社員や中堅社員とうまくやっていけるかどうかわからないこと」が31.1%と、全ての性別・年代の中で唯一3割を超えていた。