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ル・マン24時間:中嶋一貴「ワールドチャンピオンは素直に嬉しい」。7号車に対しては同情も

2019年06月17日 01:21  AUTOSPORT web

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ル・マン24時間を制し、セバスチャン・ブエミと抱き合う中嶋一貴
第87回ル・マン24時間耐久レースは6月16日、決勝レースのチェッカーが振られた。残り1時間の逆転劇でこのレースを制した8号車トヨタTS050ハイブリッドの中嶋一貴は、セバスチャン・ブエミ、フェルナンド・アロンソとともに伝統のル・マン24時間を連覇。また、WEC世界耐久選手権のチャンピオンを獲得し、自身初、そして日本人ドライバーにとってサーキットレース初となるワールドチャンピオンに輝いた。レース後、一貴が日本メディアの取材に答えたので、その一問一答をお届けしよう。

■「3人でタイトルを獲る目標を完遂できて良かった」
Q:今のお気持ちをお聞かせください。
一貴:ワールドチャンピオンについては、素直に嬉しく思います。きちんと自分たちが事前に話し合っていたとおり、24時間リスクを抑えながら、プッシュしながらミスなくしっかりといいレースができたと思いますので、その点ではシーズンも含めて、3人でタイトルを獲るためにやってきましたので、しっかりと完遂することができたのは良かったです。

Q:こういった展開になってしまったことについては。
一貴:う~ん。なんとも言えないです。自分たちも2016年に同じようなことを経験していますので、そのつらさはよく分かりますから。これがレースと言ってしまえばそれまでですが。来年どういう展開になるかは分かりませんが、チームとしてもまた来年、しっかりいいレースができるようにしたいです。お互いが全部を出し切った結果がこれというのは、改めてレースの厳しさなんだと思いますね。

Q:そういった意味では、運というものもあったのでは。
一貴:ありがたいことではありますけどね。ただなんというか、チームメイト同士で運が良かった、悪かったというのはずっとやっていてもしんどい部分がありますからね。すんなりいくときはいってもいい気もしますし……。

Q:日本人初のサーキットレースでのワールドチャンピオンとなりました。
一貴:レースに勝つことよりも、今回はタイトルを獲ることが目標としては大きかったので、そこは無事に達成できて良かったと思います。

■「緊張感は去年並みに高かったです」
Q:全体的に7号車に対してペースが悪かった部分がありましたが。
一貴:はっきりデータを見てみないと現段階ではなんとも言えません。ただ、土曜の朝のウォームアップから、なんとなく7号車のペースが良さそうなのは見えていました。僕たちのフィーリングとしても、木曜の予選2回目では良かったんですが、そこから全体的にペースがあまり伸びなくなってしまいました。それがそのままレースまで引きずってしまった印象ですね。7号車は、(小林)可夢偉も記者会見で言っていましたが、セットアップを変えて土曜の朝からペースが急に良くなりましたから。コンディションに対してクルマが合う、合わないという微妙なところだったのではないでしょうか。

Q:レース中、ピットでドアやカウルを変えているシーンが見られましたが。
一貴:僕は寝ていたので詳しくは分かりませんが、ドアについては、閉まりきっていないところがあって、それがかなりラップタイムに影響していたみたいなんです。それに気づくのにけっこう時間がかかったらしいです。フェルナンドが乗っていた時かは分かりませんが、一度7号車に追いついて、また離れたのはそれがいちばんの原因みたいです。

Q:7号車が残り1時間でタイヤトラブルがあったとき、報せを聞いたときのお気持ちは。
一貴:状況を把握するのにいっぱいいっぱいというか。『なにか7号車にあったようだ。パンクのようで今ゆっくり走っているから気をつけろ』と言われ、前に出たわけですが、その後は状況を逐一聞きながら、ギャップを聞きながら走っていました。複雑な気持ちでしたけど、レーシングカーに乗っている以上は勝つためにやるしかないので……。

Q:昨年と比べて、ウイニングラップの景色は違いましたか?
一貴:あまり笑う気分にはならなかったですけど。1周して戻ってくる間にオフィシャルの皆さんもたくさん出てきて、皆さん24時間働いて、戦っていたので、それに対する感謝の気持ちくらいしかなかったですね。

Q:メーカーとして唯一の参戦でしたが、それに対するプレッシャーのようなものは。
一貴:勝たなければいけない、勝って当たり前、ワン・ツーフィニッシュをして当たり前のようなプレッシャーというか、それが当たり前だと思ってやっていましたので。ただ去年しっかりワン・ツーという結果を残せていたので、勝ったことがあるのと、去年のように勝ったことがないのではプレッシャーの度合いが違いましたね。24時間レースなので何が起きるかは分かりませんが、チームはみんな落ち着いてやれば大丈夫という気持ちを共有してレースを戦っていたと思います。ペースとしては、7号車も8号車もお互い勝ちたいし、タイトルも関わってきますし、そういう意味では緊張感はほぼ去年並みに高かったですが。

Q:明日になったら改めて喜びを感じるのでは?
一貴:どうですかね……(笑)。分からないです。去年も次の日はそれほど変わらなかったですから。