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『俺スカ』古田新太が目指す、“好きなことに自信を持てる世界” 最終話直前にして衝撃発言も!?

2019年06月16日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 最終回まであと1話に迫った『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)。6月15日に放送された第9話では、ボクシングによって明智(永瀬廉)との仲を深めた一件が、一部だけを切り取られた動画としてネットに上がってしまいたちまち炎上。テレビなどの報道で原田のぶお(古田新太)は「暴力教師」というレッテルを貼られ、しばらく謹慎を余儀無くされることに。さらに寺尾校長(いとうせいこう)も責任をとって辞職するという、最終回直前にして波乱の展開を見せる。


参考:ほか場面写真はこちらから


 動画をネット上にあげて、この展開になることを仕組んだのが他でもない矢野(小市慢太郎)であるということは、これまでの不穏な表情からも明らかだった。さらに、寺尾校長の辞職を受けて後任を譲り受けた矢野は、のぶおを謹慎だけで済ましてはならないと主張。自ら退職するよう説得してほしいと、長井(松下奈緒)へと求めることになる。しかし長井は、寺尾校長の辞職も、のぶおが辞めさせられることにも全く納得がいっていない様子。そんな長井はのぶおの自宅へと訪れ、「原田のぶおはどうして教師になったのか」という質問を本人へと投げかける。


 嫌々ながら、「長いわよ。40年分の話だから」と言って訥々と話しはじめるのぶお。そこで語られたのは、中学生の時に自分は男性のことが好きかもしれないということに気づきはじめ、所属していた陸上部の顧問に恋をしたこと。好きだという告白はあえなく散ってしまったものの、その先生によって「好きだという気持ちを否定する必要はない」と励ましを受けたこと。そして、自分もそんな先生のように、苦しんでいる生徒を救ってあげたいという気持ちで教師になったこと。しかし教師にはなったものの、現在よりもなお「ゲイ」というレッテル貼りによる風当たりが強く、そのことを否定することでしか教師を続けることはできなかったのだという。そうしてのぶおは、自分の好きなことを蔑ろにして教師をしていることが苦痛になって、一度は教師を辞めることになった。


 その後は、偽装結婚ではあったもののレズビアンの親友と養子として迎え入れた糸(片山友希)との3人で幸せな家庭を築き、ゲイバーで働くなど人生を謳歌してきたのぶお。しかし余命が短いということを知り、もう一度教壇へ立ってみることを決意したのだという。今度こそ、「自分が好きだという気持ちに自信を持つこと」を生徒たちへと伝えるために。その教育がどれだけ受け入れられてきたかということは、2年3組の生徒たちの表情や、長井や里見(白石麻衣)たちののぶおへの態度を見ていれば伝わってくる。ようやく、のぶおが夢見た世界、「好きなことに自信を持てる世界」が目の前に広がりつつあったのだ。


 当事者である明智によって実際の出来事を事細かに世間へと伝え、さらに処分の撤回を求める署名活動をすることで、のぶおと寺尾校長の辞職撤回をめざす長井。「みんなが卒業するまで生きる」というのぶおの目標が、いつしか自分の目標にもなっていたからだと、その動機を話す長井の姿がとても印象的に映る。「事実らしいこと」に簡単に左右される世間の姿が皮肉的に描かれながら、そうした彼女たちの奔走によって計画は成功。矢野は自らの悪意を認め、のぶおの謹慎も見事解かれる。


 「俺のスカート、どこ行った?」


 ようやく聞くことができた、本作のタイトルでもあるパンチライン。再び学校へと向かうことができたのぶおの表情はとても清々しく、まわりの教師や2年3組の生徒たちも心なしか生き生きとしている。そして久しぶりに教壇に立ったのぶおは、「原田のぶお、学校やめます!」と健やかに言いのける。ん!? またもや予想だにしない発言……。突然の発表に、もはや驚くことすらできない。なぜこのタイミングで? 卒業証書を渡すという目標は果たしてどこへ? 考えてもわからないことはわからないので、来週の最終話を待ちたい。きっとそこには、“原田のぶおらしい”回答が用意されているはずだ。 (文=原航平)