6月15日に行われた2019年WRC世界ラリー選手権第8戦イタリアの競技3日目。3台体制で臨むTOYOTA GAZOO Racing WRTは、総合3番手だったオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)がこの日行われた全ステージでトップタイムを刻む快走で総合首位に浮上した。
ラリー・イタリア・サルディニアの競技3日目は、SS10~15の6SS合計で今大会最長142.42kmを走る1日。この日のサルディニア島も好天に恵まれ、朝から気温が上昇、ドライコンディションのなかで争われた。
競技2日目終了時点でトップと11.2秒差の総合3番手だったタナクは、午前中のセッションでハードタイヤ2本、ミディアムタイヤ3本を準備して走行。ハードタイヤ5本を選択したトップ2台とは異なる戦略で挑んだ。
このタイヤ戦略が厳しい暑さとなったコンディションにマッチ。SS10~12のすべてでステージトップタイムを刻むと、6.4秒リードで総合首位に浮上した。
多くのマシンが走行したことで路面コンディションが悪化した午後のステージでは全車がハードタイヤ5本を選択。この状況でもタナクは圧倒的なスピードを発揮し、SS13~16までの3SSでも最速となり、リードを25.9秒まで広げている。
前日総合6番手につけていたミークは、SS14を終えた時点で総合4番手と6.7秒差にまで接近する。しかし、SS15走行中にタイヤトラブルに見舞われてしまい、ステージ途中でタイヤ交換を行ったことでおよそ2分をロス。総合8番手まで後退した。
前日ステアリング系トラブルからデイリタイアしていたヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)は出走順が早く不利なコンディションでの走行を強いられたが、総合49番手から総合22番手までポジションを押し上げている。
この大会にはプライベーターとして元トヨタのワークスドライバーで、現在はチームのテストドライバーを務めるユホ・ハンニネンも4台目のヤリスWRCで参戦。総合9番手に食い込む走りをみせていたが、最終サービス前にデイリタイアを余儀なくされ、総合19番手まで後退した。
■マキネン代表、タナクは「リラックスしてクルマの性能を引き出している」
チーム代表のトミ・マキネンは「オット(タナク)の今日の走りは本当に素晴らしいものだった。すべてのステージを制し十分なリードを築くなど、非常に印象的な戦いだったね」と6ステージ制覇を果たしたタナクを称賛している。
「このような困難な状況でライバルもとても速く安定していたが、オットは大きな自信を持ち、リラックスしてクルマの性能を引き出していると思う。明日は最後まで問題なく走り切るだけだが、必ず彼はやってくれるだろう」
「クリス(ミーク)は、今日の難しいステージで自信を深め、スピードも上がっていただけに、最後のステージであのようなことが起きてしまいとても残念だ」
「ヤリ-マティ(ラトバラ)は今日再出走できたことが何よりも重要で、出走順がトップだったことを考えれば、タイムは良かったと思う」
2019年シーズン4勝目に迫っているタナクは「有利な順位につけているとは思うけど、明日は4本の難しいステージが残っているから、最後まで全力で戦い続けなければならない」とコメント。
ミークは「最後のステージの高速セクションで、道の真ん中あたりで何かに当たって衝撃を受け、ホイールのリムが曲がり空気が抜けてしまった」とタイヤトラブルの状況をふり返る。
「このラリーは自分にとってもっとも難しいラリーになるだろうと覚悟していたけど、本当ならば明日は総合4位争いに加わっていたはずだから、とても残念に思う」
ラトバラは「パワーステージ(のSS19)でのポイント獲得を狙う」と意気込みを明かしている。
競技最終日となる16日(日)は、サービスパークが置かれているアルゲーロの北側で2ステージ×2回の計4SSが行われる。このうち、最終ステージのSS19はステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージだ。
SS16~19の4SS合計の走行距離は41.90km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は172.29kmだ。