やりがい、という言葉が嫌いだ。働く側はやりがいなんて求めていないのに、そこらの企業は当たり前に「ウチはやりがいがありますよ」と主張してくる。
6兆歩譲って仕事におけるやりがいがあるとしても、そんなの給与と直結している要素でしかないだろうに。少ない賃金しか払えず、「その代わりにやりがいが多いですよ」なんて言ってくる会社というのはろくなもんじゃないのだ。今日はそんなろくでなしの会社にまつわる話をしていこう。(文:松本ミゾレ)
「会社を辞める理由は入社理由の裏返し。金が欲しくて入った人はもらえなきゃ辞める」
先日、なかなか皮肉の効いたスレッドを2ちゃんねるに見ることができた。「企業『クッソ…社員がドンドン辞めてしまう…社員がずっと働き続けてくれるような仕組み考えな…』」というスレッドなんだけど、続く本文がイイのだ。
「企業『せや!休日に社員旅行や運動会等のイベントで社員同士の結束を高めたろ!そうすれば退職率減るやろ!』」
これ。これである。2ちゃんねるみたいな匿名の掲示板で、ここまで小バカにされているこの風潮。たまらない。
スレッドには、この手の企業に対してアレルギー反応を見せる人々の書き込みも数多い。いくつか引用の元、紹介させていただこう。
「給与上げろ」「それやる費用で金だせや」
「弊社『皆が辞める理由は社員同士の繋がりが薄いからだ!!休日にはとバスツアーやれば皆やめたく無くなるはず!』」
「会社を辞める理由は入った理由の裏返し。カネが欲しくて入ったやつはカネがもらえなきゃ辞める。まったりしたくて入ったやつはまったりできなきゃ辞める」
「変に遠いとこでバーベキューやめろや 休日丸潰れもキッツいし」
「弊社若手とのコミュニケーション増やそうって朝礼で1分間スピーチ追加したで」
と、こういう具合にいちいち説明するのも野暮なほど、労働者の本音がダダ漏れになっちゃっている。そうだよね、金だよね。
レクリエーションで満足しているのは経営者だけ
というか、僕は社員の結束を強めるためにレクリエーションを企画するような経営者のことが嫌いで嫌いで仕方がない。以前関与していた会社の社長が、マジで守銭奴のアイコンみたいな男だった。いかに社員に金を下ろさずに使い潰すか、みたいなセミナーに参加して、うんうん頷いていたという目撃情報もあるほどの、本当の守銭奴。
そんな守銭奴が社員旅行をしようと言い出し、社員さんたちが嫌々参加していた様子が、今もまぶたに浮かんでくる。しかもそのお金だって、社員さんたちが稼いできたものだし、往復の旅費ぐらいしか会社が立て替えてもくれていなかったのだから恐れ入る。
たしかその社員旅行も、今から3年か4年も前のことだ。20人近く参加していたように思うが、その旅行で集合写真を撮ったメンツの大半は今、既に転職してしまっている。
有用な人材を重用せず、目先にしょうもない国内旅行だけぶら下げても意味はない。やりがいを感じさせるには金。金しかない。その金をくれない経営者には、たった数年で大勢が後足で砂を掛けるものなのだ。