第87回ル・マン24時間耐久レースは6月15日、23時にレーススタートから3分の1となる8時間が経過した。序盤はLMP2、LM-GTE Pro意外は落ち着いた展開となっていたが、5時間経過となる20時前後から慌ただしさを増し、8時間経過時点でトップを走るセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組8号車トヨタTS050ハイブリッドと、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組7号車トヨタがテール・トゥ・ノーズの争いとなっている。
序盤から2台のトヨタTS050ハイブリッドのワン・ツーという展開となっていた2019年のル・マン24時間。スタートから大きくリードを広げた7号車は、コンウェイから可夢偉、さらにロペスに交代。一方、7号車にやや離される展開だった8号車は、ブエミからアロンソ、さらに一貴と繋いでいる。なお、8号車はアロンソの乗車時を中心にフロントカウルを頻繁に交換している。
一方、LMP2クラスは序盤トップに立ったシグナテック・アルピーヌ・マットムートの36号車アルピーヌA470と、G-ドライブ・レーシングの28号車アウルス01が、序盤からテール・トゥ・ノーズのバトルを数時間にわたって展開し続け、ピットタイミングも同じ。3番手につけたドラゴンスピードの31号車を大きく引き離すバトルを展開している。
さらに驚異的なのはLM-GTE Proクラス。ポルシェGTチームの92号車、93号車、AFコルセの51号車、さらにコルベット・レーシングの63号車を中心とした4台のバトルが延々と展開され、さらに20時06分、このレースで初のセーフティカーが導入されると、開始から5時間が経っていたにもかかわらずふたたび上位11台が一列になる熾烈な戦いとなった。
ただ、LMP2クラスの43号車オレカのグラベルストップにより導入されたそのセーフティカーランを境に、レースは慌ただしさを増した。20時40分、マルセル・ファスラー駆る64号車コルベットが、星野敏がドライブしていたデンプシー・プロトン・レーシングの88号車ポルシェ911 RSRをラップしようとして接触してしまった。
この接触でファスラーのコルベットは激しくフェンスにクラッシュし、ピット帰還はならず。一方の星野のポルシェはフロントにダメージを負った。この接触については、スチュワードはファスラーが接触の原因となったとして、ファスラーに7000ユーロの罰金と6ペナルティポイントを課した。88号車は何度かのピットインを繰り返した後、こちらもガレージに入れられてしまった。
2台のクラッシュによりセーフティカー導入となるが、さらに再開直後LMP1クラスの4番手を争っていた3号車レベリオンR13が、第2シケインで突如姿勢を乱しクラッシュ。ガードレール補修のため再度SCとなった。なお3号車はガレージインし、フロントカウルを交換しすぐにコースに戻っている。
このSCはその後ガードレール補修箇所のみスローゾーンに変更されるが、これらの一連のアクシデントでのSCやFCYのなか、LMP1クラスは7号車トヨタと8号車トヨタの差が接近。ピットストップのタイミングで8号車がリードを奪った。一時は7号車が先行したものの、113周目のミュルサンヌで、ロペスがオーバーラン。一貴駆る8号車がふたたび先行したが、その差は10秒ない。8時間経過時点で、総合首位は8号車トヨタ。7号車トヨタが続きワン・ツーだが、その後のピットで7号車が先行。ただ僅差だけに予断を許さない状況だ。3番手にはSMPレーシングの17号車BR1、11号車BR1が4番手に続いている。
LMP2クラスは、8時間経過時点ではG-ドライブ・レーシングの28号車アウルス01が先行。36号車アルピーヌが10秒程度の差で追う展開。LM-GTE Proは92号車ポルシェがリードしているが、67号車フォードGTや63号車コルベット、51号車フェラーリらが僅差で追っている。
LM-GTE Amクラスは、チーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ、キーティング・モータースポーツの85号車フォード、JMWモータースポーツの84号車フェラーリらが争う。木村武史とケイ・コッツォリーノが序盤を戦ったカーガイ・レーシングのフェラーリは10番手まで浮上している。石川資章が乗るMPレーシングも13番手につけている。