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『あなたの番です』“交換殺人ゲーム”の伏線を振り返る 後半戦は田中圭と横浜流星の推理対決に?

2019年06月16日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

日曜ドラマ『あなたの番です』(c)日本テレビ

 「人間誰しもが、殺したい人間がいる」。そんな会話から、13人の住民たちがそれぞれ“死んでほしい人間”の名前を書き、それが殺人の連鎖へとつながっていく日本テレビ系列日曜ドラマ『あなたの番です』。2クールにわたって毎週誰かしら登場人物が命を落としていくというショッキングな展開と、回を重ねるごとに増えていく謎と伏線。いよいよ16日に放送される第10話で前半戦が終わり、すべてが明らかになるであろう後半戦へと突入していく。


参考:場面写真ほか多数


 まず整理しておきたいのはこの“交換殺人ゲーム”の基本的なルールだ。手塚菜奈(原田知世)と翔太(田中圭)の夫婦がキウンクエ蔵前というマンションに引っ越してきたその日に行われた定例の住民会。それに参加した13人、菜奈、久住譲(袴田吉彦)、田宮淳一郎(生瀬勝久)、石崎洋子(三倉佳奈)、浮田啓輔(田中要次)、黒島沙和(西野七瀬)、シンイー(金澤美穂)、尾野幹葉(奈緒)、北川澄香(真飛聖)、榎本早苗(木村多江)、藤井淳史(片桐仁)、赤池美里(峯村リエ)、そして管理人の床島比呂志(竹中直人)。彼らが小さな紙に“死んでほしい人”の名前を書き込み、一度それを一箇所にまとめて、それぞれ一枚ずつ引いていく。


 そして自分が名前を書いた人が殺されたなら、今度は自分の引いた紙に書いてあった人物を殺す。殺人事件の捜査では基本的に被害者と接点のある人物が捜査線上にあがる。そのため、まったく面識のない人物は捕まりにくいという机上の空論によって成り立つ、ある種の殺人依頼というわけだ。もっとも、それはあくまでも“ゲーム”という名目でただ紙を交換しただけに過ぎなかったのだが、さっそく一人目の犠牲者が出てしまう。管理人の床島がマンションから転落して命を落としたのだ。そしてマンションの掲示板に貼られる「管理人さん」と書かれた紙。


 それを皮切りに、続々と犠牲者が出てくる。藤井の知人であったタレント医師、シンイーの働くブータン料理店の店長、久住と顔がそっくりの俳優、さらには住民の中でも赤池美里と夫の吾朗(徳井優)や浮田、ゲームには参加していない児島佳世(片岡礼子)。そして前半戦の佳境となる展開は、菜奈が名前を書いた元夫・細川朝男(野間口徹)の死によって始まった。交換殺人の順番が菜奈に回ってくるものの、その被害者となる人物がまったく別の誰かによって殺されたことで、ルールが無視された殺人の連鎖が起きているのだと明らかになったのだ。そして一連の事件の謎を解こうとする翔太が、早苗の家の秘密にたどり着いた第9話のクライマックス。


 早苗の家の“隠し部屋”にはなぜか沙和が捕らえられており、謎の少年(荒木飛羽)の姿も。この少年の存在が、前半戦の謎を解く極めて重要なカギとなっていることは言うまでもないだろう。しかしそれでもまだこのドラマは半分。いまだ散りばめられた数々の伏線、怪しげな住民たちの謎が一向に解決せず、ドラマはさらにかき回されていく。佐野豪(安藤政信)、江藤祐樹(小池涼介)、木下あかね(山田真歩)、西村淳(和田聰宏)といったゲームに参加していない住民たちや、第1話に登場したきり姿を現していない沙和の恋人と思しき青年……。


 ドラマの中だけでなく、視聴者の間でも謎解きが加熱している本作には、今のところふたつの大きな説が存在している。ひとつめは「黒島沙和双子説」で、ドラマ序盤では必ず毎週どこかに傷を作っていた彼女が最近のエピソードでは傷を作っていないことや、性格が明るくなったことなどがその理由としてあげられている。さらには田宮が監視カメラをマンション中に設置して見つけた映像に“ふたり”の黒島沙和が映っていたから、田宮はその直後に沙和を見るシーンで訝しげな表情を浮かべていたという推理も。沙和が「双子の片割れ」の名前もしくは「暴力を振るう彼氏」の名前を書いて、すでに殺されているのだという推理も見受けられたが、どれも確証は得られていない。しかしながら、ドラマで描かれた“死”以外にも誰かが殺されているという見立ては、もしかすると核心をついているような気がしてならない。


 また視聴者と同じ立場に立って謎解きを行う翔太が「二重人格なのでは?」という説もある。現時点でこれを裏付けるような描写は感じ取れず、強いて言うならば翔太が時折菜奈への強い愛情から発する常軌を逸した発言や、隣人の幹葉とのやりとりぐらいだろうか。たしかに幹葉が少しおかしいというのがミスリードのひとつであるという考え方もできなくはない。もっとも、すでに劇中では「袴田吉彦襲撃」シーンの3人組が浮田たちではなかったということなど、様々な伏線とミスリードが往来し、複雑化を極めていることは注意しておく必要がありそうだ。


 もちろん沙和が作った表に書かれている、誰が誰の名前を書いて誰の名前を引いたかということも含め、管理人室のシュシュや赤池家での事件で流れたチェッカーズの「ジュリアに傷心」、脅迫文の字体、佐野の不可解な行動の数々、空室の303号室に出入りする幹葉など伏線となりうるポイントを挙げれば枚挙にいとまがない。とはいえ、久住の外出時の不穏な行動やエレベーターの中での謎の動きが案外大した理由ではなかったことを踏まえると、あまり深く推理せずにもっと俯瞰して捉えるのが解決への近道なのかもしれない。


 そしてさらに、新章スタートである第11話から新たな住人として横浜流星が参戦することも明らかになった(参考:横浜流星、『あなたの番です』新章に大学院生役で出演 「一視聴者として毎週楽しみにしていた」)。AIを開発している大学院生という役柄で、この交換殺人ゲームの謎に迫っていく。もしかすると後半戦は、田中圭と横浜流星の推理対決を軸とした“謎解きドラマ”としての様相が強くなっていくのではないだろうか。  (文=久保田和馬)