ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC) 6月14日に行われた2019年WRC世界ラリー選手権第8戦イタリアの競技2日目。3台のワークスマシンを投じるTOYOTA GAZOO Racing WRTは、一時総合首位に立ったヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が2度のクラッシュからデイリタイアしたものの、オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が総合3番手につけた。
グラベル(未舗装路)イベントのラリー・イタリア・サルディニア。競技2日目は日中の気温が40度まで上昇したほか、路面が乾ききっていたため、出走順が早いドライバーは砂をかき分ける“掃除役”として不利な状況に追い込まれた。
2番手走者として臨んだタナクは一時総合5番手に後退したものの、SS4でステージ最速、SS5でステージ2位に入る快走で総合2番手までポジションを上げてみせる。
その後は、午後に入って行われたSS7がタナクを含む3ドライバーの走行後にキャンセルされたことで、タナクはライバルより摩耗したタイヤで走行せざるを得ず、出走順が遅いライバルに順位を奪われたものの、それでも首位と11.2秒差の総合3番手で競技2日目を終えた。
ラトバラはSS4を終えた時点で総合首位に浮上するが、SS6走行中にマシンが横転。自力でマシンを起こして走行を再開したが8分以上の遅れを取ってしまう。このアクシデントでラトバラはフロントウインドウを失った状態での走行を強いられる。
さらに競技2日目最後のステージであるSS9では、ステアリング周りのトラブルからヘアピンの立ち上がりでコースアウト。コースへ復帰することが叶わずデイリタイアとなった。なお、チームは競技3日目には参加させるべく、マシンの修復作業を進めている。
残るクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)は、競技2日目に行われたステージの走行経験がなかったこともあり、SS5終了時点で総合8番手につける。
しかし、各ステージを再走する午後の走行ではペースをあげ、最終的に総合6番手で走行を終えた。前を走る総合5番手のエルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)とは9.2秒差だ。
■ラトバラ、マシン横転のクラッシュは「本当に愚かなミス」
チーム代表のトミ・マキネンは「ヤリ-マティ(ラトバラ)は午前中非常に調子が良く、一時ラリーをリードするほどだった。それだけに、午後のステージで横転したのは本当に残念だ」と述べている。
「その時点でクルマはまだちゃんと走れる状態だったが、その後ステアリング系に何か問題が起こり、最終ステージでコースアウトしてしまったんだ」
「一方、オット(タナク)は前戦に続き早い出走順での不利な戦いを強いられた。さらに、午後のSS7では彼が走った後にステージがキャンセルとなり、結果的に多くのライバルよりも1本多くステージを走ることになり、タイヤの摩耗が厳しい状況だったが、非常によくやってくれた」
「クリス(ミーク)は、今日のステージに関しては知識がなく、簡単には行かないだろうと予想していたが、うまくまとめた。明日はきっと、順位を上げることができるはずだ」
デイリタイアとなったラトバラは「午後の最初のステージ(SS6)では、ヘアピンコーナーでハンドブレーキを早く引きすぎ、その結果コーナーのインに深く切り込んでしまい横転した」と当時の状況をふり返る。
「本当に愚かなミスだった。横転したクルマを元の状態に戻すために、自分とミーカ(アンティラ/コドライバー)は相当な力を使ったよ」
「幸いにも次のステージでもクルマは調子が良くタイムも良かったが、最後のステージのヘアピンコーナーの立上がりでステアリングが左側にロックし、コースアウトしてしまった」
「非常に厳しい状況だが、明日競技に復帰し、ふたたび走れるようになることを楽しみにしている」
総合3番手につけたタナクは「困難な1日だったが、持てる力をすべて出し尽くせたと思う。明日はきっと激戦になると思うけど、出走順が今日よりも良くなるから、状況が大きく変わることを期待している」とコメント。
ミークも「クルマはほぼパーフェクトで、全体的にとても満足できる仕上がりだった。明日はこのラリーの伝統的なステージが続き、過去の経験と知識があるので、よりいいフィーリングで走れるのではないかと期待している」と反撃を誓っている。
競技3日目となる15日(土)はサービスパークが置かれるアルゲーロの東側でSS10~15の6SSが行われる。全6SSの合計距離は今大会最長の142.42km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は627.14kmだ。