トップへ

なつが遂にアニメーターに! 『なつぞら』が描く、モノ作りに命を捧げる人たちの姿

2019年06月14日 12:02  リアルサウンド

リアルサウンド

『なつぞら』画像提供=NHK

 NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』第65話で、なつ(広瀬すず)が念願のアニメーターへの切符を掴み取った。


参考:『なつぞら』井浦新が好演 ヒロインを導く“師匠”の姿は『半分、青い。』秋風にも重なる?


 第64話の放送では、アフレコ現場を見学したなつ。初めて自分の描いた動画のアイデアが採用されたシーンに命が吹き込まれ感極まる。自分の仕事が作品に活かされたというのは、クリエイターとして最上の喜びを感じる瞬間のひとつなのだろう。一方で、亀山蘭子(鈴木杏樹)の付き人として、アフレコに立ち会った咲太郎(岡田将生)も何か感じるものがあったようだ。


 風車で、声芝居の面白さについて熱弁する咲太郎。「新劇をやりたい」というレミ子(藤本沙紀)には、「漫画映画では、絶世の美女になれるんだ」と語る。川村屋で『名犬チンチンリー』の吹き替え放送に向ける眼差しからも、咲太郎の新しい道が開けたかのように見える。


 そして、再度動画の試験の臨むなつ。仲(井浦新)の眼差しを受けながら一心不乱に動画用紙に動きをつけていく。最低5枚と示された課題に対し、夏が描いたのは50枚。井戸原(小手伸也)に「ちゃんと綺麗な線になっている。短い間でよく成長したね」と声をかけられ、ようやくその努力が報われたのだ。


 6月14日に放送された『あさイチ』(NHK総合)に出演した井浦新は、「きっと仲さんはなっちゃんを、自分のアニメーターを目指した最初の姿に自分を重ね合わせたりとか、自分ができなかったことを超えてやっていける人という風に思いを託したいというイメージあったんじゃないか」と、演じる際に大事にしていたことを語る。


 “才能がある”というのは確かになつが注目される一つの要素ではあるが、彼女の芯にはなんとしても漫画映画を作りたいという情熱と、そこから生まれる努力がある。その姿こそが仲や麻子(貫地谷しほり)をはじめ作画課メンバーを巻き込み、チームとしての力に繋がっているのだろう。


 仕上げ課の上司・富子(梅舟惟永)は、作画課に移ることになったなつに「あなたがいい動画を描いたら仕上げてみせるから」と激励をする。こうしてひとつの作品に向かって様々な部門の人たちが様々な方向性から情熱をぶつけて、ものづくりに捧げているのだ。


 そして、泰樹(草刈正雄)に手紙を送るなつ。「私、頑張るからね、じいちゃん。今度会うときまでに、私はこの道をしっかり歩けるようになっていたいです。それがどんなに小さな道でも自分の大切な道を誇れるように、じいちゃんに示したいです」と、泰樹から確かに受け継がれているものがある。再会の時はもう少し先になりそうだが、その時を楽しみに待ちたい。


(文=安田周平)