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フォルクスワーゲン、多発するポロGTI R5出火の調査結果を発表。無償アップデートで対応へ

2019年06月14日 12:01  AUTOSPORT web

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火災事故調査内容の報告と同時にユーザーへの無償アップデート対応を発表したフォルクスワーゲン・モータースポーツ
5月31~6月2日に開催された2019年のWRC世界ラリー選手権第7戦ポルトガルで、2台のフォルクスワーゲン・ポロGTI R5から出火するアクシデントが発生していた。同様の出火トラブルは以前にも複数件報告されていたといい、フォルクスワーゲン・モータースポーツは事故調査内容の報告と同時に、ユーザーへの無償アップデート対応を発表した。

 2019年から本格的なデリバリーが開始されたポロGTI R5は、WRC第4戦ツール・ド・コルスで発生したエリック・カミリの火災事故を皮切りに、ERCヨーロッパ・ラリー選手権のラリー・イソラス・カナリアスでは、ダニエル・マルバンのマシンも炎上。

 そしてラリー・ポルトガルではペドロ・マイレレスのポロGTI R5がルートを塞ぐ形で全焼したほか、WRC2プロクラスを戦うオーレ・クリスチャン・ベイビーのポロGTI R5もSS10で出火した。

 さらにラリー・ポルトガルと同じ週末に開催されていたスイス選手権のラリー・ド・シャブレーではセバスチャン・キャロンがポロGTI R5で勝利を挙げているものの、セドリック・アルトハウスのマシンが炎に包まれる事態となっていた。

 この事態を重く見たフォルクスワーゲン・モータースポーツは、専門家とともに技術検証を行い、ポロGTI R5の構造的問題が事故の原因となっているかを調査。最終的に、リヤのフロア面にある燃料タンク上部に配されていた安全バルブが不具合を起こしていた可能性があるとの調査報告を公開した。

 フォルクスワーゲン・モータースポーツによれば、すでに問題解決に向けた作業を進めており、テストも実施済み。これまでに販売された車両には無償アップデートで対応することも発表された。

 また、この無償アップデートが施されるまでの間にポロGTI R5で競技に参加する場合、マシンを運用するチームは調査結果詳細と対策法、燃料仕様に関する推奨事項などのアドバイスが受けられるという。

 6月6日に発表されたフォルクスワーゲン・モータースポーツの公式プレスリリースでは、以下のように記されている。

「ここ数週間で複数のカスタマーが、ラリー参加中の火災による被害を受けたことについて、フォルクスワーゲン・モータースポーツはテクニカルアップデートに向けた作業を全力で進めております。顧客の車両は全車、無償アップデートによる改修を受けられるようになります」

「専門家やコンサルタントと協力し、事故車両の徹底的調査と技術的解決法の確立を進めており、すでにその対策が進んでいます。迅速なテストを経たのち、すぐに無償アップデートの提供を始める予定です」

「調査の結果、特定の燃料を使用すると機能が制限される可能性があるため、燃料タンク安全バルブの位置を調整する必要があることが明らかになりました。場合によっては燃料タンクのバルブが塞がれ“過大な”圧力が発生し、エキゾーストからの熱でその圧が悪影響を受けタンクカバーが変形する恐れがあります」

「最終的に変形したカバーがプロペラシャフトやエキゾーストに干渉し、燃料タンクの破損や引火に繋がることが考えられます。これら調査結果に基づき、プロペラシャフトやエキゾースト周辺のタンクカバーに鋼鉄製のサポートを追加し、変形抑制と断熱性を最適化します」

「さらに燃料タンクの安全バルブシステムも、これらの過大な圧力を調整するためにモディファイを受けています。加えて中央の排気管と安全バルブの物理的距離を確保し、さらに距離を取りました。これらは実際の環境下でテストを受け、安全確認ののちに迅速にアップデートキットとして受け取ることができる予定です」