2019年06月14日 11:01 弁護士ドットコム
タレントのビートたけしさんが、妻との協議離婚が成立したと6月12日、一斉に報じられた。各報道では、財産分与についても触れており、デイリースポーツは「たけしの財産は、ほぼ全額幹子夫人に分与された」と、報じた。
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金額は不明だが、スポーツニッポンによると、200億円にのぼるという。
通常、財産分与では「夫婦で半分」が原則となるはずだが、割合はどのように決まるのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。
「お笑いBIG3」「世界のキタノ」の離婚報道ですが、詳細な情報も乏しく、夫婦のことはお二人しか分からないことなので、具体的なコメントは差し控えます。そこで、今回は、あくまでも一般論として「財産分与」の解説をしたいと思います。
夫婦は、家庭生活を共にし、その中で協力して財産を築いていくことが通常です。夫婦で築いた財産は、共有の財産といえますから、離婚の際に、二人で分割することになります。これを「財産分与」といいます。
なお、一言で「財産分与」といっても、(1)清算的財産分与、(2)扶養的財産分与、(3)慰謝料的財産分与の3種があります。詳しく説明していきます。
財産分与のうち、もっとも多いのが「清算的財産分与」です。結婚している間に、夫婦で協力して築いた財産について、貢献度に応じて公平に分配しようというルールです。
「貢献度」といっても、夫婦間に収入の差があったり、妻が専業主婦であっても結婚している間はその家庭生活を夫婦で協力して築くのが通常ですから、基本的に貢献度は夫婦2分の1ずつ、とみなされます。預金や不動産など、いずれの名義いかんにかかわらず、半分ずつです。
あくまで二人の財産を二人で分けましょうという考え方に基づくものです。そのため、浮気をした方(いわゆる「有責配偶者」)からの請求でも認められることになります。
2つ目が、扶養的財産分与です。離婚をすることによって、夫婦の片方が生活に困窮してしまうような場合に、その生活を補う意味で財産を分与する方法をいいます。
病気があって働けない、子どもが小さくて働きに出られないなどの事情で、養育費や前述した「清算的財産分与」にだけでは生活が苦しくなる人もいるでしょう。そのような場合、この扶養的財産分与も加えて検討されることになります。
時々、芸能人等の離婚で「慰謝料、○億円」などと報じられることがあります。慰謝料単体としては、そこまで高額になることはありませんが、もし「慰謝料的財産分与」を指しているのであれば、誤報とまでは言えません。
というのも、慰謝料と財産分与は本来区別して考えるものですが、まとめて一つにして、「財産分与」として取決めを行うことがあります。あるいは、慰謝料という名目の支払いを拒んでいるような場合に、財産分与の名目で慰謝料相当額を盛り込み、このような解決を図ることがあり得ます。
ビートたけしさんの場合、長期間、別居状態にあったと報じられています。財産といっても、不動産や預貯金など多種多様ですが、婚姻期間中に形成された財産であれば、名義の如何を問わず、財産分与の対象になります。
一方で、離婚前であっても、別居後にそれぞれが取得したものについては、原則としては財産分与の対象にはなりません。別居しているのであれば、夫婦で協力して築いた財産とはいえないと考えられるためです。
ビートたけしさんの場合、別居期間が長期間に及んでいたことが事実であれば、前述した(2)扶養的財産分与、(3)慰謝料的財産分与の観点から高額になったと推測できます。
【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:http://www.hamakado-law.jp/