前戦モナコGPの全4台入賞に続いて、カナダGPは完走した3台がすべてポイントを獲得した。とはいえ内容的には表彰台に遠く届かず、メルセデス、フェラーリに力負けした印象だ。その辺りを当事者の山本雅史ホンダF1マネージングディレクターは、どう見ているのか。物議を醸したセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に科されたペナルティへの見解とともに、今回もユニークな山本節さく裂だった。
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──今ひとつ、という結果だったのではないでしょうか?
山本雅史ホンダF1マネージングディレクター(以下、山本MD):天気が良すぎた、ということにしておきましょうか(苦笑)。
──全体的に、ペースがなかった?
山本MD:ということですね。思った以上に暑くなって、おそらく僕が今まで来たなかでは、一番気温の高いカナダだったと思います。路面温度も、スタート前で51℃でしたか。暑さに十分対抗できなかった気がします。
──マックス・フェルスタッペンがハードタイヤでスタートした戦略自体は、順当なものでした。
山本MD:ええ。でも前半、バルテリ・ボッタス(メルセデス)の後ろで詰まってしまい、その間に前に行かれてしまった。ボッタスのピットイン後、前が空いた時には、もうタイヤのおいしいところは終わっていました。
──中古のソフトタイヤでスタートしたピエール・ガスリーは、予想通り苦しい序盤でした。しかし第2スティントも、ピリッとした速さがなかった。ルノーの2台にも、追いつけませんでした。
山本MD:そうですねえ。レッドブルもトロロッソもわれわれホンダも、こういうサーキットでは課題があったということだと思います。パワーサーキットだし、暑いうえに先行車と接近して走ることで吸気温度が上がって、パワーもさらに落ちてしまった。
そんななか、残り3周で(ダニール)クビアトがカルロス・サインツJr.(マクラーレン)を抜いてポイントを獲ったのはよかったです。その結果、完走した3台がすべて入賞したのは、唯一の救いですね。
──次戦フランスで、レッドブルは車体を大きく変えるという話が出ています。
山本MD:事実だとしたら、うれしいですね。
──ついでにパワーユニットも変わったりしますか?
山本MD:どうでしょうねえ。着々と、開発は進んでいますよ。両チームと話し合いながら、タイミングを見て投入することになると思います。
■「ペナルティは、テレビ視聴者にも現地のファンにもわかりづらい」
──もうひとつ、レースを決定づけたベッテルフェラーリへのペナルティについて、個人的な感想でけっこうなんですが、聞かせていただけますか。
山本MD:僕がまず感じたのは、前戦モナコでのマックスへのペナルティもそうだったのですが、ペナルティの出し方がTVで観てる視聴者、現地で観戦してる観客に理解しづらいと思いましたね。
まあTVの場合は解説が入るわけですけど、たとえばピットスルーペナルティとか、目に見える形にするべきではなかったかと。1位でチェッカーを受けた人が、表彰台の真ん中に立たないレースは、最後に白けてしまいますよね。
モナコにしても、2位チェッカーのマックスが表彰台にいなかった。FIAのペナルティの科し方はもうちょっと考えた方がいいと、個人的には思いますね。
──ベッテルがペナルティを科されたこと自体は、仕方がない?
山本MD:微妙ですね。厳しい判定だと思いました。あの状況で後ろのルイス・ハミルトン(メルセデス)を、故意に邪魔しているようには見えない。たとえば両者がバトルしていて、ハミルトンが視界に入っている状態でベッテルがコースアウトしたのなら、前に行かせるべきでしょう。
でもあの時は、クルマ2、3台分ハミルトンが後ろでしたよね。確かにライン上にコース復帰しましたけど、あれはベッテルにとっては精いっぱいでしょう。ハミルトンはもちろん、彼の視界に入ってなかったでしょうし。モナコのペナルティにしても、もしボッタスがスローパンクチャーしてなければ、不問に付された気がします。いずれにしても今日のペナルティは、厳しすぎましたね。
──再びホンダ勢の話に戻りますが、今回のレッドブルはメルセデスとフェラーリに力負けしたという印象ですか。
山本MD:もともとパワーサーキットですしね。それ以外は加減速の連続で、レッドブルの長所が活かせない。でも足りない部分があるのはもちろんですし、開発を続けていくだけです。