2019年06月13日 10:41 弁護士ドットコム
「ヤモリをなめろ」「なめなかったら罰金3億払え」。小学3年生の息子が同学年の子どもから、いじめを受けたという女性から、弁護士ドットコムに相談が寄せられました。息子は罰金を払うことになれば、親に迷惑をかけてしまうと思い、ヤモリをなめてしまったそうです。
【関連記事:「田中の対応最悪」社員名指しの「お客様の声」、そのまま社内に貼りだし公開処刑】
女性は、息子を通じて、いじめをした子どもに謝罪をするよう伝えたところ、その親が自宅を訪ねてきましたが、「他にも一緒に言った人が居た」「日頃からウチの子に色々されていたから、その仕返しをしてしまった」などと釈明しており、対応に納得がいかないようです。
息子に健康被害はなかったものの、女性は法的な対応ができないか、気になっているようです。
このような「逆ギレ」をする親の背景には何があるのでしょうか。いきなり損害賠償を請求するにまで至らないとしても、弁護士を通じて、どんな対応が可能なのでしょうか。高橋知典弁護士に聞きました。
「こうした、『いじめの逆ギレ事案』は、実際にはかなり多く存在します。多くの事案で共通の特徴は、(1)やっていることは認めている、が、(2)いじめにも理由があると、屁理屈を述べ、(3)相手の親は自分の子どもに対して指導するよりも、こちらを責めることに熱中していて、さらに、放っておくと(4)他の親や学校を巻き込んでいこうとするという特徴があります。
このような『いじめの逆ギレ事案』のような親の共通心理は、『自分が被害者だ』という感覚があることです。『いじめをしている側なのに、なぜ?』と思うかもしれません。しかし、彼らの言い分は大体『学校は、自分の子どもがいじめられていた時に何もしてくれなかった』『自分の子どももいじめを普段我慢している』『(今回のいじめが発覚した後の)指導に納得がいかない』など、簡単に言えば『トータルで見ると私だって被害者だ』という内容になります」
そのように歪んだ認識の親に対しては、どう対応すればいいのか。
「こうした親の場合に対しては、この後もその意味不明な理屈で言動をとっていくと、どうなっていくのかを説明した警告文を弁護士から送ったり、その内容で学校からの指導を行わせたりすることが有効です。
例えば、『今回のヤモリの件についても、損害賠償をすることができる』とか、暴力事件の場合には『警察に対応してもらう』といった『実際にできる内容』で、弁護士から連絡を入れると、一度被害者意識で熱くなった頭に冷や水をかけ、自分の言ってることが筋違いで、不幸な方向に進んでいることを理解させることができます。
もっとも、弁護士を入れたことで、相手方は周囲の保護者を巻き込んで嫌がらせをしてくることも考えられます。そうした意味では、弁護士の経験と照らし合わせ、今回の事例ではどうするべきか、一つずつの案件ごとに対応を考える必要があるでしょう。まずは具体的な相談をしていただくのがよろしいかと存じます」
【取材協力弁護士】
高橋 知典(たかはし・とものり)弁護士
第二東京弁護士会所属。学校・子どものトラブルについて多くの相談、解決実績を有する。都立高島高等学校での教育シンポジウム、テレビ・ラジオ等の出演。東京こども専門学校講師としても活躍。
事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:http://rei-law.com/