F1カナダGPでルノーはダブル入賞を果たし、モントリオールを離れるニコ・ヒュルケンベルグには笑顔が見られた。しかしチームのマネージングディレクターを務めるシリル・アビテブールによれば、その満足そうな様子とは裏腹に、ヒュルケンベルグは割り切れない気持ちを引きずっていたという。
日曜日に行なわれた決勝レース序盤、ヒュルケンベルグはチームメイトのダニエル・リカルドより8周遅れてピットインし、ハードタイヤに履き替えている。
ヒュルケンベルグは新しいタイヤでリカルドとの差を素早く詰めていった。それ以降ふたりはほぼテールトゥノーズの走りを続け、最後はリカルドがヒュルケンベルグをコンマ4秒の僅差で抑えてチェッカーフラッグを受けた。
しかしレース終了後にアビテブールが明かしたところによると、チームがピットからふたりのポジションを固定するように指示を出したことが、ヒュルケンベルグの不満につながったという。
「ダニエルのタイヤはニコよりも若干古くなっていた。何台かの速いマシンにアタックを試みていたからでもあるが、彼のタイヤがあまり良い状態でなかったことは明らかだ」とアビテブールは説明した。
「おそらくニコは彼を追い抜くだけのペースを持っていたはずだが、我々の方から率直に『チームとしてはこのままの結果が必要だ』と伝えた」
「そのようなことを指示したくはないし、チームのスタイルではない。多くの局面において、我々が好まないやり方だ」
「チームを戦える状態に戻すことを確実にしておきたかった。そしてドライバー達については、次戦以降に、彼ら自身の戦いができる状態に戻してやりたい」
「だがこの週末に関しては現在も4番手の座にいるマクラーレンに、もう一度できる限り近づいておくことが重要だった」
レース終了後にヒュルケンベルグと話をしたアビテブールは、彼がチームオーダーに対して戸惑いを隠さなかったと語った。
「彼は少し腹を立てていた。その理由については理解できる」
それでもコンストラクターズ選手権でのポイントを2倍に増やし、また最近行なったエンジンのアップグレードによるパフォーマンス向上を、パワーが重要な要素であるコースで確認できたことにより、ルノーにとっては実り多い週末となった。