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米津玄師、SIRUP、Suchmosらに続く? Honda CMで注目される“サバプロ”の魅力に迫る

2019年06月12日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 Survive Said The Prophetの楽曲「Right and Left」がHondaシャトルのテレビCM「たいせつを知る人の。」篇に使用され、注目を集め始めている。


参考:Survive Said The Prophet、ラウドシーンの新時代を切り開く“洗練されたサウンド”を紐解く


 HondaのCMソングといえば、過去にはSuchmos、Nulbarichなどが起用され、それぞれ「STAY TUNE」「NEW ERA」といった楽曲とともにバンドの知名度底上げに一役買った。今年初頭もSIRUPの「Do Well」Honda「VEZEL TOURING」篇に使用され、反響を呼んだことは記憶に新しい。また、ONE OK ROCKやMIYAVI、米津玄師、サカナクションなどすでに人気のアーティストの楽曲も多数起用されており、そのアンテナの高さは注目に値するものがある。


 今回のSurvive Said The Prophetの場合、SuchmosやNulbarich、SIRUP同様に新進気鋭アーティストのフックアップという側面が強く、そのセンスに対してYouTubeのCM動画コメント欄には称賛の声が多数寄せられている。


 さて、Survive Said The Prophetに対する注目度の高さは今に始まったことではない。彼らは昨年、劇場アニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ III 皇道』の主題歌に「NE:ONE」、テレビアニメ『BANANA FISH』の第1クール・オープニングテーマに「found & lost」、同第2クール・エンディングテーマに「RED」がそれぞれ採用され国内外のアニメファンの間でも話題に。この7月からスタートのアニメ『ヴィンランド・サガ』(NHK総合)のオープニングテーマに新曲「MUKANJYO」を提供したことも、つい最近話題になったばかりだ。


 またHondaのCMソングにも使われている「Right and Left」は、今年3~5月に放送されたWOWOWオリジナルドラマ『虫籠の錠前』の主題歌としてもオンエアされている。アニメを通じての国内外への波及、さらには鈴木拡樹や清原翔といった人気俳優が出演するドラマ経由での一般層へのアピールと、この1年ほど彼らの快進撃はとどまることを知らない。


 もちろん、これはロックフィールドの“外側”だけの話ではない。昨年9月にリリースされた最新アルバム『s p a c e [ s ]』はスマッシュヒットを記録。この春からは全国47都道府県ツアー『Now more than ever Tour』もスタートし、すでに各会場に足を運んだというファンも少なくないはずだ。


 ファンの間では「サバプロ」の愛称で知られるSurvive Said The Prophetは、2011年に結成された5人組バンド。2016年のTatsuya(Gt)加入を経て、Yosh(Vo)、Ivan(Gt)、Yudai(Ba/Scream)、Show(Dr)という現編成が揃い、ラウドロックやポストハードコアのみならずポップス、エレクトロ、ヒップホップ、R&Bを下地にした楽曲の数々は、激しさのみならず軽やかさやしなやかさ、メロディアスさといったポピュラリティも兼ね備えており、限られたシーンの枠には収まりきらないその個性は特筆に値するものがある。


Survive Said The Prophet – Right and Left | Official Music Video
 特に、昨年はIncubusやParamore、STORY OF THE YEARやHoobastankの来日公演にてサポートアクトに抜擢。単に海外ラウドロックをなぞるだけではなく、(それこそ2017年のアルバム『WABI SABI』のタイトルにもある“侘び寂び”からもわかるように)日本的情緒も存分に散りばめられた独自性の高いサウンドを含め、今もっとも“世界に近い”存在と言えるのではないだろうか。


 ジャンルにとらわれない楽曲の魅力に関しては、HondaのCMや先述のアニメ/ドラマのタイアップを通じてご理解いただけるだろうが、それではライブに関してはどうなのだろう。


 一度でも観たことがある者ならご理解いただけるだろうが、彼らのライブは“静と動”がバランスよく共存し、かつそのダイナミズムが大きなうねりとなって聴き手を巻き込んでいく圧倒的なものだ。CDで聴ける楽曲同様に、音の“空白/隙間”を効果的に生かした緩急自在のサウンドと、日本人の琴線に触れるエモーショナルなボーカル&メロディ。そして、エネルギーを瞬時に爆発させるようなアグレッシブさ=“動”と、浮遊感漂うスペーシーな“静”を巧みに使い分けるライブパフォーマンスの妙技からは、彼らが単なるラウドロックフォロワーではないことは一目瞭然だろう。こういった要因もあってか、ここ最近はLIQUIDROOM、マイナビBLITZ赤坂と着実に会場のキャパを広げ、動員を増やし続けている。


 Survive Said The Prophetは6月16日に幕張メッセで開催される『SATANIC CARNIVAL ’19』に出演するほか、8月16日には『SUMMER SONIC 2019』大阪公演への出演も決定している。特にサマソニはRed Hot Chili PeppersやBring Me The Horizon、BABYMETAL、MAN WITH A MISSIONなど国内外の大型アクトが多数出演する日程だけに、大勢のロックファンを前にサバプロらしい爪痕を残すことに期待したい。


 HondaのCMで初めて「Right and Left」を知り、そのオシャレなサウンドに耳を奪われたリスナーには、同曲が収録されている昨年9月発売の最新アルバム『s p a c e [ s ]』をぜひ手に取っていただきたい。そのカラフルで情緒豊かな世界観に圧倒されるはずだ。(西廣智一)