メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフは、ライバルチームがF1のタイヤサプライヤーであるピレリに対してタイヤの仕様を修正するよう求めていることについて、これはメルセデスの持つ優位性を壊そうするための日和見主義の試みにすぎないと話した。
2018年シーズンに頻発したタイヤのオーバーヒート問題を解決するため、ピレリは2019年シーズンに向けてタイヤの仕様を変更した。2018年のスペインGP、フランスGP、イギリスGPでは、通常のタイヤよりもトレッドの薄い特別なタイヤが導入されたが、2019年はこのトレッドの薄いタイヤを通常仕様のものとして使用している。
先週末開催されたF1第7戦カナダGPでは、フェラーリとレッドブル・ホンダが、パフォーマンスが安定しない基本的な理由として、このタイヤのラバーを指摘していた。その一方でメルセデスは、開幕戦から連勝を重ね、ライバルチームよりもはるかに効率的にタイヤを扱うことができていた。
また中団勢では今年、ハースが慢性的なタイヤトラブルを抱えている。今年のタイヤは、作動温度領域が極めて狭いという特徴を持っており、彼らの抱えるトラブルはこのことにも関連している。
カナダGPの土曜日、レッドブル・ホンダのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは『Sky F1』に対し、今年使用するタイヤを0.4mmトレッドの厚い2018年仕様のタイヤに戻すことは“最善策になるだろう”と皮肉を込めて語った。
なおシーズンの途中にタイヤの仕様を変更するためには、全10チームのうち7チームからの承認か、あるいはFIAの決定が要求される。
だがウォルフは、ピレリへの批判は“日和見主義の行動だ”と主張した。
「毎年、我々はピレリから新しいタイヤを供給されている」とウォルフは話した。
「時にはライバルチームの方が速いということを理解しなければならないし、自分たちが他のチームよりも苦労することもある」
「安全上の問題にならない限りは、過去にもそうしてきたように、我々は与えられたものを最大限に活かす必要がある」
「ピレリは、戦略がエキサイティングなものになるように性能の落ちるタイヤを供給してほしいと要求されており、とても信じがたい仕事を課されている。だが我々はその性能の落ちるタイヤを手にすると、もっと保ちの良いタイヤを要求するようになった」
「願わくば全員に適したタイヤを供給するというピレリの仕事においては、彼らを守り、サポートする必要があると私は考えている。これが我々の行っていることであり、重要ではない意見に気を紛らわされるようなことはない」
ホーナーは、最終的には単純にメルセデスのライバルチームがタイヤの問題を解決し、メルセデスに追いつく必要があると考えている。
「彼らはタイヤを適切な作動温度領域に入れることができている。我々は、それに追いつかなければならない」
「もし昨年仕様のタイヤの戻してくれれば、最高だろう。9チームはそれに満足するが、1チームは全く満足できないところをおそらくは目にすることになる」