2016年のF1チャンピオンであるニコ・ロズベルグは、F1第7戦カナダGPでセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)にペナルティが科されたことについて、スチュワードの判断は正しかったと考えている。
ベッテルは、メルセデスのルイス・ハミルトンと優勝争いを繰り広げていたレース終盤、コースを外れた後、ハミルトンの進路をさえぎるような危険な形でコースに戻ったため、カナダGPのスチュワードから5秒のタイムペナルティを科された。
その結果、ベッテルは2019年シーズンの初優勝を逃し、2位でレースを終えた。
このインシデントについて、非常に多くの人々が意見を表明したが、スチュワードの判断を実質的に擁護したものはほとんど見られなかった。
ロズベルグは、「フェラーリがカナダで優勝できたならばこれに勝る喜びはなかっただろう」と認める一方で、究極的には今回のスチュワードの判断は正しかったと考えている。
「まず初めに、これは通常起きていることと同じだ」とロズベルグは、自身の公式YouTubeチャンネルで語った。
「ルイスとベッテルが競っているとき、ルイスはプレッシャーをかけてくる。今回もその典型的なケースだった。プレッシャーがかかり、ルイスとベッテルの戦いが行われている最中に、ベッテルはよくああいったミスを犯すんだ」
「ラップごとにずっとプレッシャーがかかり、彼はコースを外れる。それからコースに戻ってくる。『タイヤに泥が付いた。制御できなかった、どこを走れと言うんだ、僕にルイスは見えなかった』と叫びながらね」
「でもルイスはそこにいる。そして規則には、コースを外れたら安全な形で復帰しなければならない、と書いてある」
「ベッテルはコースを横切りそうな勢いだったけれど、容易にスペースを残しながら戻れたはずだよ。特にルイスがブレーキをかけ始めたときは、楽にスペースを作れただろう」
「だけど彼はそれをしなかった。そしてルイスは危険な状況だと判断したんだ」
「リプレイ映像を繰り返し何度も見た。ルイスはそのまま走っていたら壁にぶつかってしまっただろうね」
「ベッテルはどんどん近付いてきた。かなり接近してきたので、ルイスはベッテルのマシンか壁のどちらかに当たってもおかしくなかった」
「残念なことだけど、明らかに危険なコース復帰だったと言える。コースへの復帰は安全に行わなければいけない。だからあの場合、ペナルティは科されてしかるべきだ」
ロズベルグは、論争を巻き起こしているこのインシデントについて、父親のケケ・ロズベルグとも話し合ったと明かした。ケケは、ベッテルのタイヤに芝が付いたためにコース復帰の段階ではグリップが低下していたとして、彼を擁護したという。
しかし、彼はケケの話に納得しなかった。
「それは分かっている。でも、だから何だと言うんだ? それでも安全に戻るべきであることは変わらないし、マシンを制御できないのなら、安全には戻れない。それだけのことであって、ペナルティは科されるべきだ。正当な理由にはならない」
「けれど、こんなくだらないペナルティは不要だ、という意見には完全に賛同するよ。僕たちは素晴らしいレースが見たいんだ。そして、今回のレースは素晴らしかった」