トップへ

『いだてん』中村勘九郎から阿部サダヲへバトンタッチ 視聴者へ「帰ってきて」とメッセージ

2019年06月11日 17:31  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 NHK大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』の「主役たすきリレー会見」が、本日6月11日にNHK放送センターにて開かれた。


参考:黒島結菜×菅原小春、『いだてん』の“ヴィーナス”として輝く 現代まで続く自由への叫び


 『いだてん』は、金栗四三(中村勘九郎)が牽引してきた第1部が6月23日放送の第24回「種まく人」で終わり、6月30日放送の第25回「時代は変る」から田畑政治(阿部サダヲ)が主人公の第2部がスタートする。マスコミ向けに試写会が上映された後、会見に主演の中村勘九郎と阿部サダヲが登壇した。


 昨年4月のクランクインより約1年間、第1部の主演として先頭を走ってきた中村。「様々な出会いが、金栗さん、そして僕を強くしてくれたと思います。本当に濃い1年間でした。宮藤(官九郎)さんの面白く、すごい(脚)本を形にできたというのをスタッフ、キャスト陣と楽しみながら、悩みながら、進んできました。嘉納(治五郎)先生(役所広司)のセリフじゃないですけど、『楽しいのか? 楽しくないのか?』っていうのがみんなの心の中にあったと思います」とこれまでの撮影を振り返り、「役者人生の中で経験できるかできないかというくらいのことを、1年間でやらさせていただきました。宝物になりました」と晴れやかな表情を浮かべた。


 1年間の思いの丈が溢れた熱いコメントに阿部は「1年間、大河の主役でやってきたというのもあると思うんですけど……けっこう長く喋るんですね」と触れ、会場はドッと笑いに包まれる。続けて、阿部は「いっぱい思い出がありますもんね。まだそんなに経ってないので……大河ってすごいなと思います。選手から指導者になってからの金栗さんってすごく良くて。今後、出てこないわけじゃないので、見せ場はいっぱいあるんですけど」とコメント。阿部の言う通りに、金栗は第2部スタートの第25回にも登場し、今後も指導者として『いだてん』を盛り上げていく予定だ。


 阿部の演じる田畑は、“口がいだてん”と言われるくらいにせわしなく、何を言っているのか分からないような人物。「ポスターもこんな風にガラッと変わってるので、芝居もすごく変わっているように見えると思いますけど、台本がそうなっているので思いっきりやるしかないというか。得体の知れない人ですから、何するか分からないみたいなところがあるので。僕も現場では何するか分からないような感じでやりたいなと。それを受け止めてくれる役者さんもたくさんいるから、僕はすごく楽しくやってます」と田畑を演じての感想を述べ、「……1年間の撮影をまだやってないんで、そんなに出てこないですね」と自虐を込め、再び会場を沸かせた。


 中村演じる金栗は、目標に向かってまっすぐに突き進む太陽のような男。日本で初めてオリンピックに参加し、結果3度のオリンピック出場を果たす。金栗を演じる上で印象に残っているシーンを聞かれた中村は、少し悩んだ上で「走ってたなというイメージはあったんですけど、どんどん忘れていくんですね。嘉納先生が最後に『彼はずっと走ってたな』って言って、実際に走っていた映像が流れるじゃないですか。あれを観て僕も『あぁ、走ってたな』と思いましたね」と第24回でのシーンを挙げた。


 また、大友良英の音楽に乗せたタイトルバックは、第2部より田畑メインの映像に切り替わる。金栗とは違い、ハードル飛びを連想させるシーンなど、田畑がメインに変わるとなんともユニークだ。「勘九郎さんがハードルみたいに飛んでいたところを、飛んでただけなんです。オリンピック毎にフィルムが変わっていくのも面白いですよね。急に綾瀬(はるか)さんが入ってきたりね。綾瀬さんもやりたくなっちゃったらしいんですよね。オープンセットに来て、なんか自転車漕いでるから『なにやってるんですか?』って聞いたら、『オープニングに出たくなった』って言ってました。出れるんだそうです」とタイトルバック撮影の裏話を明かす一幕も。


 記者から芳しくない番組の視聴率に触れられると、阿部は「気にしてなかったな。『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)がいいって話? もうだって、一軒家なんてそんなにないでしょ」と裏番組のタイトルを出し、冗談交じりにコメント。中村も「田畑さんは金栗さんでは出会えない人たちと出会っていくので。高橋是清もそうですし、ヒトラーも、ムッソリーニもそうですよ。近代日本史の有名人がどんどん出てきます。『ポツンと』を観ている方々も知っている人がいっぱい出てくるので、帰ってきてほしいです」と笑顔で呼びかけていた。


(取材・文=渡辺彰浩)