京都府警は6月10日、自宅の窓を開けて大音量でハードロックを聞き続けたとして、53歳の無職の男性を軽犯罪法違反(静穏妨害)で逮捕した。朝日新聞の報道によると、男性は近隣住民の通報で駆けつけた警察官が注意しても音量を下げず、窓も閉めていなかった。男性は昨年8月から今年3月にかけて10回、迷惑行為を行っていた。
静穏妨害は軽犯罪法の1条14項「公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者」に該当する。1日以上30日未満の拘留か、1000円以上1万円未満の科料が課せられる。みらい総合法律事務所の山口明彦弁護士によると、主に警察官の注意を聞かずに騒音を出し続け、逮捕されるケースが多いという。
被害の録音は「無いよりあったほうがいいが、それだけでは決定打にならない」
通報者が1人でも複数でも、迷惑をかけたと認められれば罪になる。「異常に大きく」出した音はどの程度か、何デシベルから該当するのかなど、明確な基準はない。人が生きていく上である程度我慢しなければならない「受忍限度」を超えた場合が「異常に大きく」に該当するものの、どこまでを限度とするかは程度問題だ。
「例えば近隣の学校で日中に運動会が行われていた場合、ある程度の騒音は出てしまいます。しかし、運動会は学校教育上必要なものですし、一日だけ、しかも昼間に行われます。慣習化していますので静穏妨害が適用されることはありません」
そもそも静穏妨害は「よっぽどのレアケースでないと適用されない」という。騒音の内容や程度によっては傷害罪で逮捕されることもある。メディアでも"騒音おばさん"として注目を集めたケースだ。
「奈良県生駒郡の主婦が2005年、大音量で音楽を流すなどして近隣夫婦の体調を悪くさせたとして逮捕される事件がありました。このように人の生理機能を害する程度まで騒音が大きいと、傷害罪になり得ます」
騒音の被害に遭った場合はどうしたらよいのか。山口弁護士は、録音や録画は「無いよりはあったほうが良いものの、それだけでは決定打にならない」とも明かす。騒音の音量がどのくらい正しく反映されているかの判断が難しいためだ。一番良いのは「実際の場に警察の方を呼び、生の状況を見てもらうこと」だと話していた。