キャリコネニュースが6月5日に掲載した記事「公園のベンチに座っただけで通報されたおじさん 不審者扱いの理由は『普段は見ない人。スマホを使っているから盗撮かも』」が大きな反響を読んでいる。
記事は、公園のベンチで休憩していた初老男性が、スマホを見ていただけで近くにいた母親集団に通報されたというもの。数人の警官が男性に事情を聞き画像フォルダを確認したが、盗撮の証拠などは出なかった。
しかし、通報した本人である女性は「私は間違っていない」の一点張りで、警官から「公園で休憩するのに許可はいりませんので」と諭される始末だったという。
ガールズちゃんねるや5ちゃんねるなどの匿名掲示板では、意見が割れていた。似たような体験をしたという書き込みや、通報された男性への同情もある一方、「不審に思ったらためらわず通報すべき」「このご時世だから仕方ない」といった意見も出ている。
「通報じゃなく声掛けとかすればいいのに」「その公園出るくらいじゃダメだったのかね」
子どもを狙った犯罪が実際に各地で起きていることを踏まえれば、疑心暗鬼になる親の気持ちも分からなくはない。とはいえ、ただ純粋にベンチに座り休憩しているだけの人も確かにいる。一足飛びに通報する前に、不審度合いを確認する方法も考えておきたい。
ガールズちゃんねるには
「子供のために警戒するのはわかるけど、その公園出るくらいじゃダメだったのかね」
「通報じゃなく声掛けとかすればいいのに。やましい心があれば去っていくよ」
などのコメントがあった。子どもと自分だけの場合は声かけに勇気がいると思うが、ママ友たちと集団でいる場合は、子どもを誰か別のママ友に預けた上で挨拶しに行き、感触を確かめるのもありだろう。
自身や身近な人がベンチの男性と似たような体験をしたという声もあった。
「兄がぶちぎれてたのを思い出した。公園でスマホ弄りつつ休憩してたら盗撮を疑われ、ママ友軍団に公園から追い出されたとかなんとか」
「ダイエットしたくて近所の広場(公園というか広い芝生にベンチが点々とある)に縄跳びしに行ったら子供を遊ばせてるママ集団に追い出された事があるよ。縄跳びする前に。広場に足を踏み入れて場所を選んで歩いてただけで、見た事ないけどどこの人間だ、何しにきた、ここは大人が1人で来ていいところではないって。女性でも子連れじゃないだけで怪しまれる……」
声優の落合福嗣さんもツイッターで、「長女と公園で遊んでた時にお巡りさんに職質されたことあるよ」と明かしている。
「『あなたのお子さんって証明できるものありますか?』って。保険証とママが持ってるから証明できるもんなくて焦った(-_-;)スマホの写真で助かったけど。通報したのは遠巻きにいたママさんグループだったみたい ただただ悲しかった」
職務質問されたことにはかなり驚いたようだが、「通報する気持ちも分かる」「通報することに対しては文句も否定もしてません むしろ肯定派です」と、理解も示している。
「不審者通報は10のうち1でも当たれば良い それが防犯というもの」
通報を「やり過ぎ」と言う人がいる一方、「犯罪直前だったら、ナイス通報ってとこだな」、「こんなこと言い出したら通報しにくい世の中になる」という意見も散見された。通報に否定的な見方が多かった5ちゃんねるで「いつも公園にいる人からしたら見かけない人が不審者に映るのはしょうがない それで通報しちゃいけないって風潮になるのは違うな」と書いた人は、
「不審者通報が100%の的中率じゃないと駄目だと勘違いしてるやつが多い 警察の職質と同じで10のうち1でも当たれば良い それが防犯というもの」
と説いていた。
犯罪社会学の第一人者である小宮信夫教授は、子どもを狙った犯罪が起きやすい「ホットスポット」の1つに公園のベンチを上げている。遊具とベンチの距離が近いと、不審者が子どもに声をかけやすくなるためだ。
個人が出来る防犯はせいぜい過剰に警戒することくらいだが、それも限界がある。行き過ぎれば人々との相互不信を引き起こしかねない。ベンチの設置位置や向きを変えるなど、犯罪が起きにくい公園環境の整備も重要になりそうだ。