前戦モナコGPでは、メルセデスのルイス・ハミルトンと激しい先頭争いを演じたフェルスタッペン。しかし、2週間後のF1第7戦カナダGPで、レッドブル・ホンダは優勝争いはおろか表彰台を賭けた戦いもできなかった。
スタートは悪くなかった。5番手からソフトタイヤを履いてスタートしたピエール・ガスリーはポジションをキープに成功し、同じソフトタイヤで前を走るルノーのダニエル・リカルドにプレッシャーかけながら周回を重ね「ダニエルを逆転するためにアンダーカットした」(クリスチャン・ホーナー代表)ものの、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)の後方でコースに復帰したため、功を奏さなかった。
その後、ハードタイヤを履いてスタートしていたランス・ストロール(レーシングポイント)を抜きあぐねている間に、ピットストップせずに走行を続けていた6番手スタートのバルテリ・ボッタス(メルセデス)と7番手スタートのニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)にオーバーカットを許してしまう。
「マシンの調子はとても良かったから、フィニッシュしたポジションにはがっかりしている」というガスリーは、スタートから3つポジションを落として8位に終わった。
予選でQ2落ちしてたチームメイトのマックス・フェルスタッペンは、予選9番手のカルロス・サインツJr.(マクラーレン)がアレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)のアタックを妨害したかどで3番手降格、また予選10番手のケビン・マグヌッセン(ハース)がクラッシュによりモノコックを交換するなどしてピットレーンスタートを選択したため、2つポジションを上げて9番手からハードタイヤを履いてレースをスタートさせた。
■路面温度の高さがエンジンパフォーマンスに影響
フェルスタッペンは前を走るランド・ノリス(マクラーレン)はすぐにかわしたが、バルテリ・ボッタス(メルセデス)を抜くことがなかなかできなかった。その理由のひとつにホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、日曜日に50℃以上になった路面温度が関係していると語った。
「路面温度が高くなったために、前のクルマに近づいたときの吸気温度が想定も高くなって、エンジンのパフォーマンスに影響が出ていたようです」
そのため、ピットから前車との距離を開けるように指示を出して吸気温度を下げては、再びアタックして、また吸気温度が上がるという繰り返しとなった。
それでもハードタイヤを選択して、最初のスティントをライバルたちよりも長くする作戦を採ったことで、前を走るドライバーがピットインした後は、本来のペースで走行。48周目にタイヤ交換し、ピットアウトした直後にルノー勢2台の後方に下がったものの、50周目にニコ・ヒュルケンベルグを、そして51周目にはダニエル・リカルドをあっさり料理して、5位でチェッカーフラッグを受けた。
「5位はだいたい予想通りのポジションだけど、もっと狙いたかった。僕らの週末じゃなかったということだ」(フェルスタッペン)
ルノー2台を逆転して5位を獲得したものの、「現実的に考えられる最大限の順位ですが、望んでいた結果かといわれれば、そうではありません」(田辺TD)
2週間前にメルセデスとテール・トゥ・ノーズの戦いをしたレッドブルに代わって、カナダGPでメルセデスと優勝争いを演じたのはフェラーリだった。優勝争いに加われなかった理由を田辺TDはこう語った。
「いろんな意味で力負けし、厳しい週末でした」