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フォード/Mスポーツ、カスタマー向けラリー車両の最新モデル『フォード・フィエスタR5』発表

2019年06月10日 13:41  AUTOSPORT web

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M-SPORTが6月7日に発表した第2世代となる新型『フォード・フィエスタR5』
フォードのモータースポーツ活動を統括するフォード・パフォーマンスと、WRC世界ラリー選手権などで活動するMスポーツは、カスタマー向けに展開しているラリー車両の最新モデル『フォード・フィエスタR5』を正式発表した。WRC2やERCヨーロッパ・ラリー選手権など、世界各国のシリーズで活躍しタイトルを獲得してきた成功作を引き継ぐモデルになると自信をみせている。

 2018年に登場したR2規定モデルと同じく、ドイツ・ケルンにあるフォードのグローバルファクトリーで生産される『フォード・フィエスタST-Line』をベースに製作された2代目フィエスタR5は、フォード・パフォーマンスとMスポーツが共同開発した最新モデルとなる。

 初代フィエスタR5は全世界で250台以上が販売・使用されており、R5規定ラリー車両のなかでも大きな成功を収めたモデルと言えるが、このR5市場はフォルクスワーゲンやシトロエンなども相次いで新型車両を投じて競争が激化している。

 またR5市場で勢力を伸ばしているチェコの自動車メーカー、シュコダも改良モデル『シュコダ・ファビアR5 Evo』を発表。5月末に行われたラリー・ポルトガルのWRC2プロクラスに投入すると、デビューウインを飾るなどポテンシャルを発揮している。

 そんなファビアR5 Evoを筆頭とするライバルメーカーに対抗するべく開発された新型フィエスタR5は、クラクフに拠点を置くMスポーツ・ポーランドが開発を主導した。

 搭載される1.6リッター4気筒の直噴ターボエンジンは、ともに4000回転で290馬力、475Nmの出力を発生。レギュレーションで定められた32mm径エアリストリクターを装着した状態でも、レスポンスとドライバビリティが大幅に改善されているという。

 サスペンションコンポーネントも刷新され、前後ともにリデザインされた3ウェイ・アジャスタブルのレイガー製ダンパーを備えるマクファーソン・ストラットを採用。完全アルミニウム製に刷新されたダンパーボディはバネ下重量の大幅な軽量化を実現し、トラクションとスタビリティを最適化するためにジオメトリーも完全な見直しを受けている。

 そしてこちらも新設計となるサデフ製の5速シーケンシャル・ギヤボックスや、前後デフと油圧サーボを持つラック&ピニオンのステアリング機構、ブレンボ製の鍛造4ポッド前後キャリパーも、R5規定に準じた仕様が装備された。

 設計と開発作業は2018年1月から開始され、シェイクダウンは同年12月に実施。それ以降、元F1ウイナーを含めた8名のテストドライバーがあらゆる路面を走破し、さまざまなコンディションの組み合わせで30日以上にわたるテストをクリアしてきた。

 このプロジェクトを率いたのは、2017年にMスポーツがWRCタイトルを獲得した際、セバスチャン・オジェ車のエンジニアリングを任された28歳の若き才能ベルナルド・フェルナンデスで、設計作業も若手デザイナーのリチャード・クリステンセンが担当している。

「これは僕にとって自らの名において責任を持つ最初の大きなプロジェクトになる。それは重圧を伴う挑戦であるのと同時に、最高の栄誉でもあった」とフェルナンデス。

「現時点でも先代フィエスタR5は高い競争力を示しているが、それでも我々は多くの領域で修正と進化を重ねるため、時間と労力を費やしたんだ」

「R5カテゴリーは競争が激化していて、最大の課題はコストと性能の高い妥協点を見出すことだった。デザインチームを率いたリチャードにも特別な感謝を述べる必要がある。彼なしではこの成果は成し得なかった」

 長年、WRCでチームを率いたMスポーツのマネジングディレクター、マルコム・ウィルソンも新型フィエスタR5があらゆる分野で性能向上を果たしていると自信をみせた。

「我々は文字どおり世界を旅して、あらゆる路面コンディション、あらゆるドライバーとともにテストを重ねてきた。このクルマは我々にとって非常に重要な意味を持っており、その適応力の高さは成功に不可欠な要素だ」と語ったウィルソン。

「同時に、我々は企業文化として常に本物の意欲と情熱を持ち、挑戦を続ける若者に機会を提供してきた。ベルナルドはその好例であり、私自身が新型モデルをドライブした経験から言えば、彼らのチームは素晴らしい仕事を成し遂げたと言えるね」

 この新型フィエスタR5は、7月にベルギーで開催される伝統の高速ターマック・イベント、イプルー・ラリーでVIPカーとして公式デビューを果たす予定で、そのドライバーにはテストも担当した31歳のフランス人、エリック・カミリが起用される。