テキサス・モータースピードウェイで開催されたインディカー・シリーズ第9戦。248周のナイトレースをポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が制し、今季3勝目を挙げた。
予選では佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がポールポジションを獲得し、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が2番手、3、4番手もセバスチャン・ブルデー(デイル・コイン)とライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)とホンダ勢がトップ4を占めた。
レースもホンダ勢が完全にイニシアチブを握っていた。トップ4独占でスタートした彼らは、トップ6を占めるまでになった。
しかし、優勝はジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)とシボレーのものとなった。彼らの作戦勝ちだ。ホンダ勢には彼と同じ137周目にピットしたチームがふたつあったが、そこからゴールまでのスピードでニューガーデンが優っており、彼だけが優勝争いに加わった。
燃費セーブ作戦でスピードを上げ切れない状況が長く続きながらも、ホンダ勢はスコット・ディクソン、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)、コルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)がニューガーデンの背後に迫り、逆転のチャンスを伺った。
しかし、226周目のリスタートでディクソンはレースリーダーのニューガーデンと接触。スピードを落とさざるを得ず、ロッシとハータの接近を許し、それが229周目のアクシデントに繋がった。
ディクソンをインからパスしにいったハータがスライドしたのか、2台は接触し、絡み合ってクラッシュ。リタイアとなった。
最後のリスタートは236周目に切られ、そこからはロッシがニューガーデンに対してアタック。しかし、ターン1でサイド・バイ・サイドまではいくものの、ロッシは相手の前に出ることができず、ニューガーデンが0.8164秒差で今シーズン3勝目を挙げた。
テキサスでの初勝利は、彼にとってのスーパースピードウェイでの初めての優勝でもあり、通算13勝目。
「僕らのマシンは速かった。チームが最高の作戦で勝たせてくれた。ドライバーとしてプレッシャーを感じるぐらい、チームが頑張ってくれている」とニューガーデンは喜んでいたが、この日最速だったのは佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)かライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)かハータだった。
インディからの4戦で3回目の2位となったロッシは、「トップ争いにいなかった相手に負けた。ゴール前に何度もアタックしたが、横までは行けても前に出ることができなかった」
「それだけ彼が速かったということだが、結局はトラックポジションが大きな意味を持つレースだということ。燃費でもスピードでも今日は僕らの方が彼らに優っていたが……」と悔しがっていた。予選は11番手だったが、レースで目覚ましい走りを見せて上位へと進出。あと一歩、またも優勝に手が届かなかった。
3位は予選9番手だったグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。今季初の表彰台。4位はルーキーのサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)。彼にとってのキャリアベストフィニッシュだ。
5位はハンター-レイ。スピード勝負の4ストップ作戦は失敗で、琢磨がピットでのミスから後退を喫した後に90周トップを走り、最後のイエローでタイヤを新品にしての逆転にもトライしたが、5位が背一杯だった。
琢磨はポールスタートから60周をリードした。トップを走りながら燃費も上々だったが、ピットストップで自分のボックスに止まり切れずにクルーにぶつかってしまい、ペナルティも科せられ3周遅れに陥り、優勝のチャンスを逸した。クルーは奇跡的に手首の軽い怪我だけで済んだ。
連戦が続いていたインディカー・シリーズ。次戦は2週間後のロード・アメリカ戦だ。