F1第7戦カナダGP予選でマックス・フェルスタッペンがQ2落ちを喫したのは、予選Q1で右リヤサスペンションを壊してしまい15位に終わった昨年のアメリカGP以来のことで、今シーズンはもちろん初めてだった。
フェルスタッペンがQ2落ちした理由はふたつある。ひとつは、Q2の1回目のアタックをミディアムタイヤで行なったことだ。今回カナダGPに持ち込まれたタイヤはC3(ハード)、C4(ミディアム)、C5(ソフト)。つまり、モナコGPと同じ最も軟らかいコンパウンドの組み合わせだった。
しかも、土曜日の予選は路面温度が最高で49℃という暑いコンディションだった。そのため、Q3に進出したドライバーがスタート時に履くことが義務付けられているQ2のベストタイムを記録するタイヤは、できればミディアムタイヤを履きたかった。
しかし、この日のレッドブル・ホンダには、ミディアムを履いて楽にQ3に進出できるスピードがなかった。さらに渋滞にも引っかかるという不運もあって、ミディアムタイヤを履いたフェルスタッペンは、トップ10内に残ることができなかった。
ここでチームは2回目のアタックでリスクを避けて、ソフトタイヤを装着させてコースに送り出した。しかし、ハースのケビン・マグヌッセンが最終コーナーでクラッシュして赤旗が出たため、バックストレートを走行していたフェルスタッペンはアクセルを緩め、タイムを更新することができずにQ3進出はならなかった。
まさかのQ2落ちに終わったフェルスタッペンは「Q3に行けそうなラップを走っていたから、この結果は理想的ではない。Q2落ちしたからスタートで履くタイヤを選べるという意味では良かったかもしれないけど、先頭集団に追いつく前に中団グループをクリアしなければならないからいつも以上に難しいレースになりそうだ」と残念がった。
赤旗が出るまで、フェルスタッペンはセクター1を19.6秒、セクター2も22.7秒といずれも自己ベストで走行していた。これにQ1のベストタイムをマークしたときのセクター3のタイムである29.0秒を足しても1分11秒3は出すことができたはずだから、あのラップが完結していれば、余裕でQ3に進出していただけに残念な結果に終わった。
ただし、この日のレッドブル・ホンダにメルセデスとフェラーリに対抗できるだけのスピードがなかったことも事実だ。それはQ2をソフトタイヤでアタックしたにも関わらず、1分11秒196に終わり、ミディアムタイヤでアタックしたメルセデス2台とフェラーリの2台のうち、セバスチャン・ベッテルが出したタイムを上回ることができなかったことでもわかる。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターもQ2でフェルスタッペンがミディアムで1回目のアタックを行い、ガスリーがソフトで出て行った理由を「Q2をミディアムタイヤで通過できるかどうかのポテンシャルの見極めが難しく、周りの様子を見ていたから」と語った。
なぜメルセデス、フェラーリに遅れをとったのか。気になるのは、セクター1、2に比べてセクター3で遅れをとっていることだ。
「最高速が遅いことは数字に出ていますが、その理由がパワーユニットの馬力不足によるものなのか、低速コーナーの立ち上がりのトラクション不足によるものなのか、データを解析してチームと話をします」
予選後、カルロス・サインツ(ルノー)に3グリッド降格のペナルティが下され、マグヌッセンはピットレーンスタートとなるため、土曜の終了時点ではフェルスタッペンは9番手、ガスリー選手は5番手からスタートする。日曜日のモントリオールは土曜日よりも暑くなるという予報が出ている。予選でのスピード勝負ではメルセデスとフェラーリにかなわなかったレッドブル・ホンダ。もし日曜日がサバイバルレースになれば、活路を見いだせるかもしれない。