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『俺スカ』阿久津仁愛&古田新太が抱えていた秘密 King & Prince 永瀬廉は最後の賭けに

2019年06月09日 13:41  リアルサウンド

リアルサウンド

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 前回放送の第7話にて、明智(永瀬廉)を取り巻く問題にひと段落がついた『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)。第8話では、文化祭によってさらに親密度の高まる2年3組の生徒たちの姿が楽しげに描かれながら、祭の魔力に掻き立てられて、さまざまな人物が胸に抱える思いを告白する。


参考:場面写真ほか多数


 文化祭で2年3組が催すことになったのは、原田のぶお(古田新太)がかつて働いていたゲイバーを再現した「Show&Bar のぶりん」。男子生徒は女装をして、女子生徒は男装をするという試みによって、のぶお曰く「男らしさや女らしさに縛られすぎることなく、異性の装いから何かを感じる」特別授業の役割も兼ねた出し物を行うことに。そこでの、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)が演じる東条の、常軌を逸するレベルで美しかった女装姿についてまずは触れておく必要があるだろう。そうした普段とは違う装いや、豪林館学園高校の名物だというお化け屋敷、青春の主張、あるいは原田のぶおの包容力によって、ある男子の胸の奥に秘めた思いが加速しはじめる。


「俺、ほんとうは女の子の格好したいんだよね」


 文化祭の前日、そうのぶおに告白する光岡(阿久津仁愛)の姿があった。前から思っていたことではあったけど、今回女装をしてみることで、自分のなかで渦巻いていた女装への憧れが明らかになってきたのだという。そんなまっすぐな思いにのぶおは「どんな格好をしても、光岡は光岡」だと迷いなく肯定してみせ、自分の好きなようにやってみることをすすめる。そんな助言を受けて、秘めた思いを告白する文化祭企画「青春の主張」にて、光岡はクラスメイトみんなを前にその思いを告白する。


 光岡が抱えていた思いを繊細に描きながら、それを全面的に肯定する2年3組の生徒たちの姿をとおして、告白することのかっこよさを伝えた『俺スカ』。しかし今回のストーリーのなかで見逃せないのは、その裏で光岡への思い(おそらく好きだという感情)を告白することが叶わなかった、今泉(竹内愛紗)の感情の機微についてだろう。「ほんとうは女の子になりたい」という光岡の言葉を受けて、一度出かけた言葉の内容はついに明らかになることはなかったが、戸惑いながらも精一杯の笑顔で光岡を受け入れる今泉の姿が、ほろ苦くも温かく映る。実際、すぐに相手の本質をわかってあげるというのは難しいことで、時間はかかるかもしれない。しかしそういう状況にあっても絶対的にすべてを肯定し、その後の余韻を視聴者に与えるのが『俺スカ』の温かさにもつながっている。


 そんな光岡の告白に続いてのぶおから発せられたのは、病気で余命いくつかと言われていて、もうその時期も過ぎてしまっているという衝撃の事実だった。「余命すぎたあたりで、やりたいこと全部やっておこうと思った」というのぶおは、やりたいことノートに記していたなかの一つひとつに「教師になること」や「文化祭」「探偵」「ヴァージンロードをウエディングドレスで歩く」があったのだと言う。驚きを隠せない2年3組の生徒たちだったが、そこで明智はお得意の「賭け」をのぶおに仕掛ける。内容は、「卒業する前にのぶおが死んだらのぶおの負け。卒業したらのぶおの勝ち」で、「のぶおが勝ったらやりたいことを叶えてあげる」というもの。ここまできてもポジティブにストーリーを紡いでいく本作のスタンスには、学生時代の短くて長いあの一瞬をどこまでも肯定的に描こうとする愛を感じることができる。次回予告では不穏な影も迫り、目が話せない展開になってきた。


※高橋ひかるの「高」はハシゴダカが正式表記。 (文=原航平)