WTCR世界ツーリングカー・カップでセバスチャン・ローブ・レーシング(SLR)に所属するロブ・ハフが、ここ数シーズン並行してチャレンジしているCTCCチャイナ・ツーリングカー選手権の第2戦上海ラウンドに参戦。フェイスリフトを受けたSAICフォルクスワーゲン333レーシングのラマンドGTSでポールポジション獲得と2019年初勝利を挙げ、今季初参戦で結果を残した。
WTCRではゴルフGTI TCRをドライブするハフは、2017年からCTCCにもエントリー。シーズン中に4戦まで参加可能な海外招待枠、“ワイルドカード”ドライバーとして上海に拠点を置くチームの精神的支柱としての役目も担ってきた。
そのハフにとって2019年初戦となった6月1~2日開催の上海国際サーキットでの1戦は、予選から世界王者の実力を遺憾なく発揮。こちらもワイルドカード枠で長年チームメイトを務めるマカオ出身ポルトガル国籍のロドルフォ・アヴィラやチェン・チャン-ダン(フォルクスワーゲン・ラマンドGTS)を従え、2分13秒725のポールタイムを記録してみせた。
しかしレース1では予選トップランカーが抽選を行う“ランダム・リバース・グリッド”制度に翻弄され9番手発進となり、勝利に向けて7周スプリントで前方8台をオーバーテイクする必要のある高いハードルが課せられることに。
逆転勝利に向けて気迫を感じさせるスタートを切ったハフのラマンドGTSは、文字どおりのジャンプアップをみせ、オープニングラップ終了時点で表彰台圏内まで浮上。続く2周目には北京汽車のBAICセノヴァD50をドライブする元WTCCドライバー、ダリル・オーヤンを難なく仕留めて2番手に上がっていく。
さらにチェッカーが迫る5周目には先頭を走る同じくセノヴァのファン-カルロス・チューに迫ると、ヘアピンでミスをしたライバルの動きを見逃さず華麗にパッシング。そのまま1.425秒までリードを拡大し、SAICフォルクスワーゲン333レーシングに2019年シーズン初優勝をプレゼントした。
「何よりも素晴らしいマシンを用意してくれたチームとフォルクスワーゲンに感謝しなくちゃいけないね」とレース後に振り返ったハフ。
「スタートでは周囲の何台かがまだ“眠っていた”ようなので、そこで3つか4つはポジションを稼ぐことができた。2番手に上がった時にはまだ勝利を確信してはいなかったけど、彼(ファン-カルロス・チュー)がヘアピンでワイドになったので、僕にチャンスが巡ってきたんだ」
2位に入ったファン-カルロス・チューに続き、3位には終盤にオーヤンをパスしたファン-カルロスの兄弟であるデビッド・チューが続き、オーヤンを含めBAICセノヴァ勢が2~4位を占拠。5位に予選2番手タイムを獲得していたハフの僚友チェン・チャン-ダンが入っている。
続くレース2は予選タイム順のオーソドックスなグリッドでのスタートが切られ、ポールシッターのハフが大きくリードを築いて1コーナーへ。2番手にアヴィラ、3番手にチェンとフォルクスワーゲン勢がワン・ツー・スリー体制を築くと、ターン3でスピンを喫したデビッド・チューらBAICセノヴァ勢を尻目に逃げ集団を形成。
すると4周目のホームストレートでハフがアヴィラを前に出し、翌周にはチェンにも同じようにポジションを譲り渡すなど、チャンピオンシップでの戦いをアシストするチームプレーを見せる。
そのまま10周のレースは波乱なくチェッカーを迎え、アヴィラが2019年シーズン初勝利を飾ると同時に、チェン、ハフのVWラマンドGTSがポディウム独占のレースを披露。
その背後4位には、開幕戦デビューウインを飾ったチーム・キア・レーシング・チャイナの新型キアK3 2.0Tのマーティン・カオが続き、元WTCCエンジニアのマルコ・コロボーロ率いるイタリアのエンジニアリング企業ヘキサロン・レーシング・システムズが関与した新型モデルが、バラスト搭載状態でも戦える戦闘力があることを感じさせた。
これで選手権ランキングはチェンが18点差で首位に立ち、続く6月23日開催の第3戦上海天馬サーキットでのイベントに挑むことになる。