前戦モナコGPの直後、『ニコ・ヒュルケンベルグとピエール・ガスリーを交替させるために、レッドブル・ホンダがルノーと極秘交渉中』という記事が出た。しかしその後、両陣営が完全否定。思わぬ騒動に巻き込まれた形のガスリー自身は、レースごとに着実にパフォーマンスを上げているという自負があるだけに、カナダでの囲み取材でも「そんなばかばかしい話に、付き合ってるヒマはないよ」と呆れ顔だった。
カナダはモナコと比べるとコース特性の点で対極にある、典型的なパワーサーキットだ。しかしガスリーはメルセデス、フェラーリの2強に対しても「全然かなわないとは思ってない」と、自信を見せていた。
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──カナダGPの週末を前に、今の気持ちは?
ピエール・ガスリー(以下、ガスリー):ワクワクしているよ。10日前のモナコでは自己ベストタイの5位に入ったし、最速タイムも獲得したからね。もし予選でペナルティを受けていなかったら、もっと上に確実に行けていただろうね。表彰台も、十分に可能だったと思っている。レースごとに確実に調子は上がっているから、この勢いをカナダでもキープしたい。
──ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)と交替する報道が、モナコGP後に出ました。
ガスリー:驚く以前に、呆れているよ。まったく根も葉もないことだからね。このニュースが出る前に、ヘルムート(マルコ博士)から電話がかかってきて、事情を説明してくれた。
この種のばかばかしい話に付き合うのは、時間の無駄でしかない。仕事とか家族とか友人とか、大事なことは他に山ほどある。根拠もないし、ばかばかしすぎて、コメントする気にもなれないよ。
──開幕当初はセッティングの問題や、ドライビングスタイルを変える必要があるとも言っていました。それらは今は、解決されましたか?
ガスリー:確実に改善している。だからこそモナコでは8番手からスタートして、優勝したルイス・ハミルトン(メルセデス)からわずか10秒落ちの5位フィニッシュを果たせたわけだしね。
確かに今はまだ、レッドブル・ホンダのポテンシャルを100%発揮できているとは思わない。改善すべき点も、まだあらゆる分野で山ほどある。でも繰り返すけど、方向性は間違っていないし、レースごとに着実に速くなっているよ。
──具体的にどの分野を改善したら、より速くなれるでしょうか?
ガスリー:コーナー立ち上がりだね。シーズン序盤の頃の僕のドライビングは、今よりずっとアグレッシブだった。それだと立ち上がりで、マシンが暴れてしまうんだ。今はずいぶん良くなったけど、まだ十分じゃない。
──フェルスタッペンとは、セットアップはずいぶん違いますか?
ガスリー:若干だね。大きな違いはないよ。サーキットによっては、ほとんど同じセッティングになることもある。
──F1でのメンタルプレッシャーの大きさは、F2のようなそれまでのカテゴリーと比べてどうですか。
ガスリー:すべてのスポーツが同じだと思うけど、頂点のカテゴリーでのメンタルプレッシャーはそれ以下のものとは比べ物にならないね。
──カナダは名うてのパワーサーキットです。勝算は?
ガスリー:モナコほどのアドバンテージがないことは確かだ。最高速に優れるフェラーリが、ここでは強いと思う。スペック2を投入するメルセデスも、さらに速くなるだろうね。でも僕らもマシンパッケージの理解が進んで、着実に進化を続けている。パワーサーキットだからといって、全然かなわないとは思っていないよ。