FIA国際自動車連盟は6月12~16日、フランスのサルト・サーキットで開催される第87回ル・マン24時間レースに向けたEoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー=技術の均衡)とBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)を発表した。
EoTはシリーズ最高峰LMP1クラスに参加する車両の技術的パフォーマンス差を小さくし、異なるパワートレインを採用するマシン同士が同じ舞台で戦えるようにする性能調整システムだ。2018/2019年WEC“スーパーシーズン”はトヨタのTS050ハイブリッドとプライベーターのノンハイブリッドLMP1カーを対象とし、第7戦までを終えた今季は各ラウンドごとに微調整が行われてきた。
6月2日にル・マンで開催されたテストデー前にもプレイベント用のEoTが明らかにされていたが、そこではノンハイブリッドカーの“ラップあたりの最大使用エネルギー量”“1スティントあたりの搭載燃料量”“給油リストリクター径”という3つの項目が未定または未設定となっていた。
5日に発表された最新版をみてみると、ノンハイブリッド勢は使用可能エネルギー量が第7戦スパと同様に無制限とされた一方、燃料搭載量は自然吸気エンジン車が56.5kgから50.8kgに、ターボ車も52.8kgから48.4kgに減らされている。
なお、2018年のル・マンでは両車とも52.5kgであったことと第3戦シルバーストン以降、115.0kg/hに引き上げられた燃料流量とあわせて考えれば、ノンハイブリッド勢が昨年以上に燃費面で苦しめられることは避けられないだろう。裏を返せば、車両最低重量のプラス10kgという調整を除いて各数値に変更のないトヨタTS050ハイブリッドは、燃費の面でさらに優位に立ったといえる。
ただし、プライベーター勢は自然吸気、ターボ車でそれぞれ給油リストリクター径を0.40~0.95mmに広げる措置を受けており、給油時間は2018年大会より短縮される見込みだ。
■ル・マン用BoPでLM-GTEクラスの燃料タンク容量が決定
LMP1クラスに課されるEoTと同じ日に発表されたBoPは、LM-GTEクラスの各車両間のパフォーマンスを最低車重、エンジン出力、燃料タンク容量という大きく3項目に分けたテーブルにより調整するもの。
このBoPもEoTと同様に、テスト前に暫定版が交付され2日の走行セッションでは各マシンがそれに倣ったスペックで、それぞれのメニューをこなしている。そのなかで集められたデータを基にFIAは、前回のBoPで未定としていた6メーカー計7モデルの燃料タンク容量を決定した。
LM-GTEクラスは昨年、100kg以上の搭載が認められていたアストンマーティンとポルシェを含む6車種のタンクキャパシティを削減し、全車が88~99kgの範囲内に収まるように調整。
また、フォードGTが初登場したLM-GTEアマクラスでもアストンマーティン・バンテージ、フェラーリ488 GTE、フォードGT、ポルシェ911 RSRという4車種すべてのタンク容量が小さくなった。
■2018/2019年WEC第8戦ル・マン24時間EoT(6月5日発表版)
ノンハイブリッドノンハイブリッドハイブリッドエンジンタイプ自然吸気ターボターボMGU放出エネルギー(MJ/Lap)00<8MGU放出パワー(kW)00<300最低重量(kg)816833888最大エネルギー(MJ/Lap)unlimitedunlimited124.9最大燃料流量(kg/h)115.0115.080.0最大燃料搭載量(kg)50.848.435.1給油リストリクター径(mm)22.3021.7519.00