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【あなたは何しに?】世間を騒がせた元F1ドライバーの来訪が気づかせてくれた、ニキ・ラウダへの敬慕

2019年06月06日 13:21  AUTOSPORT web

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モナコGPのグリッドで旧交を温めるマルドナドと小松エンジニア
F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。今回は、第6戦モナコGPを訪れた元F1ドライバーのパストール・マルドナドとエディ・アーバインのふたりを紹介する。

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 今年のモナコGPは、決勝レーススタート前のグリッド上に多くの元F1ドライバーが集っていた。その理由のひとつは、現役を引退した後も節税対策のためにモナコに居を構えて続けている元F1ドライバーが少なくないからだ。

 2015年限りでF1から遠ざかっているパストール・マルドナドも、そのひとり。現在も自宅はモナコにあり、今年のモナコGPでは家族3人でパドックにやってきた。マルドナドと最後に会ったのは2年前のスペインGP。そのときビクトリアちゃんはまだベビーカーに乗っていたが、9月で6歳になる今年はマルドナド家にもうベビーカーはなく、ベビーカーを押す係だったマルドナドは単独で行動していた。

 日曜日のグリッド上にも1人で現れ、ロータス時代に一緒に仕事した経験がある小松礼雄(ハース・チーフレースエンジニア)を見つけると、抱き合って旧交を温めていた。

 今年のモナコGPに多くの元F1ドライバーが来場したもうひとつの理由は、ニキ・ラウダが亡くなった直後ということだった。日曜日のスタート前には現役ドライバー20人だけでなく、多くの元F1ドライバーがスタートライン付近に集まり、ラウダへ黙祷を捧げていた。

 その中のひとりが、エディ・アーバインだった。1990年代後半にミハエル・シューマッハのチームメートとしてフェラーリに在籍し、1999年にはミカ・ハッネンとタイトル争いを演じるなどの活躍を見せて、2002年限りで引退したアーバイン。「引退後はアメリカに移住し、現在も自宅はフロリダ州マイアミにあるよ」と言う。

 引退後、不動産投資で成功を収めたアーバインは、その後、母国北アイルランドの運送会社の株式を取得して経済的にも成功を収め、2008年にはアイルランドのスポーツ長者番付で堂々の1位を獲得。そのときの資産額は約380億円とも言われ、一時はF1チーム買収の噂も出たほどだった。

「レーシングドライバーとしての人生には限りがある。オレは引退した後の人生も現役時代同様、楽しんでるぜ!!」と語ってくれたアーバイン。

 そういえば、ラウダもアーバインもF1ドライバーとしてだけでなく、実業家としても活躍していたという共通点があるだけでなく、ラウダと同じようにアーバインもフェラーリを自ら出て行った過去があり、きっと人間としても尊敬していたに違いない。派手な言動で引退後も時々、世間を騒がせているアーバインの来訪は、ラウダがいかに多くの人たちから敬慕されていたかをあらためて認識させてくれた出来事だった。