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VW、ニュルブルクリンクのレコードを大幅更新。ID.Rで電気自動車最速となる6分5秒マーク

2019年06月04日 12:11  AUTOSPORT web

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ニュルブルクリンク北コースの電気自動車最速タイムを更新したフォルクスワーゲンID.R
6月3日、フォルクスワーゲンのフル電動プロトタイプカー『ID.R』がドイツ、ニュルブルクリンクにおける電気自動車の歴代最速ラップを更新した。ロマン・デュマがステアリングを握った同車は、従来のレコードタイムを40秒以上縮める圧倒的な速さを披露している。

 フォルクスワーゲンは2018年6月、アメリカ・コロラド州で開催されたパイクスピーク・ヒルクライムに『ID.Rパイクスピーク』を投入。デュマのドライブで7分57秒148と大会ニューレコードを記録するとともに、電気自動車初となる総合優勝を達成した。

 2モーターで最高680馬力(500kW)を発揮するモンスターマシンはその後、グッドウッド・フェスティバルのヒルクライムでもEVレコードを叩き出すと、同車を開発したフォルクスワーゲンは今年1月、聖地ニュルブルクリンクの北コース“ノルドシュライフェ”でのタイムアタックに挑戦するとアナウンス。

 このチャレンジに向けて、フォルクスワーゲンはすでに成功を収めているID.Rにさらなる改良を重ね、同時にニュルブルクリンクのコース特性に合わせたモディファイが行われてきた。約半年間の開発期間中にはタイヤメーカーのスイッチも行われ、ミシュランからブリヂストンへと銘柄が変更されている。

 そんなフォルクスワーゲンID.Rは複数回の実地テストを経て6月3日、いよいよ本番のときを迎えた。パイクスピーク、グッドウッドと同様に、今回もドライブを担当するのはポルシェワークスドライバーのデュマだ。

 ニュルブルクリンク24時間レースで過去4度の総合優勝を飾っているフランス人ドライバーが駆るID.Rは、“グリーンヘル”とも呼ばれる全長20.832kmの難コースで6分05秒336を記録。中国の新興EVメーカー、NIOの『DP9』が持っていた6分40秒90という従来のEVレコードを40.564秒短縮してみせた。

 これによりフォルクスワーゲンとID.Rは、過去12カ月間で3つ目のレコードタイム更新を成功させている。

「ニュルブルクリンクのノルドシュライフェは、世界でもっともクルマへの要求が厳しいレーストラックであるだけでなく、量産車における究極のテストコースでもある」と語るのは、フォルクスワーゲンのハーバード・ディース会長。

「ID.Rはこの難しいチャレンジをマスターし、史上最速となるエミッションフリーラップを完了することで素晴らしい結果を残してくれた。この成功はフォルクスワーゲンが推進するeモビリティの性能を証明するものとなり、“ニュルブルクリンク公認”を謳うことができるだろう」

「最後に、フォルクスワーゲン・モータースポーツとドライバーのロマン・デュマのチームが、ID.Rで3つ目の記録を達成したことを祝福する」

 ふたたびフォルクスワーゲンと成功を収めたデュマは「僕にとってもここは世界でもっとも難しいトラックだ。そんなノルドシュライフェのレコードホルダーになれたことがいまだに信じられない。とても誇りに思う」とコメント。

「今回も素晴らしい仕事をしてくれたフォルクスワーゲン・モータースポーツのみんなに感謝しているんだ。ID.Rはこのチャレンジのために何度も改良され、とても良い状態に仕上がっていた」

「電気モーターが可能にする急加速や、優れたエアロダイナミクスによる高次元のコーナリングスピードを経験するのはとても楽しかったよ」

 フォルクスワーゲングループでは今回のチャレンジの約1年前、傘下のポルシェがLMP1マシンを改造したモンスターマシン『ポルシェ919ハイブリッドEvo』でニュルブルクリンクの歴代最速タイムとなる5分19秒55をマークしている。

 フォルクスワーゲンID.Rが電気自動車における同地のレコードタイムを更新したことで、VWグループはふたつのカテゴリーでニュル最速をマシンを作り上げたことになる。