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人気声優がホスト務める『おれパラ』の魅力とは? イベントの歩みやパフォーマンスを振り返る

2019年06月04日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 ランティスレーベルの男性声優たちによって、毎年12月に開催される音楽の祭典『Original Entertainment Paradise』(以下、おれパラ)をご存じだろうか。12年目となる“おれパラ”2019の開催が発表された4月初頭から、すでにTwitter上では「参加宣言」を掲げるファンも多い、声優アーティスト活動の界隈では歴史の長いライブイベントだ。2019年もまだ半ばに差し掛かったところではあるが、年末への準備として、これまで“おれパラ”に触れたことのない読者を中心に、改めてその魅力をお伝えしたい。


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・岩田光央卒業以降、模索しながら発展した“おれパラ”
 「(声優が)本気で音楽に取り組み、自ら発信していける場」を作るべく、岩田光央、小野大輔、鈴村健一、森久保祥太郎の4名をホストとして、2008年12月28日の中野サンプラザホールにて開催された“おれパラ”。翌年からは両国国技館へと場所を移し、2012年には神戸公演もスタートした。そして2013年、創始者かつリーダーでもあった岩田の卒業&新ホスト・寺島拓篤の誕生という大きな節目を迎え、二代目リーダー・小野を中心に“新しいおれパラ”を模索しながらここまで歩んできた。


 10周年となる2017年には、富士急ハイランド・コニファーフォレストにて初の野外フェス『Original Entertainment Paradise -おれパラ- 10th Anniversary ~ORE!!SUMMER~』を開催。2日間にわたって豪華ゲスト陣も次々に登場し、アツい夏を盛り上げた。そう、この「豪華ゲストの登場」は“おれパラ”を楽しむ大きな要素のひとつなのだが、同年末に行われた10周年を締めくくる『10 th Anniversary~Welcome to おれたちのパラダイス~』では、ゲストを呼ばずにホストのみでのライブを展開。そして千秋楽の両国国技館、アンコールの途中で「俺たちからのクリスマスプレゼントはこれだ!」の声を合図にシークレットゲスト・岩田光央が登場。記憶に残る10周年記念ステージとなった。


 10周年を経て“おれパラ”はますます加速する。「また新しい10年を重ねるための1年目」とした彼らは『Original Entertainment Paradise -おれパラ- 2018 ~We’lluminate☆PARTY~』にて、これまで歌い続けてきたオープニング曲とエンディング曲を刷新。小野賢章、古川慎、畠中祐といったゲスト陣に加え、ホストメンバーが参加するユニット、buzz★Vibes(森久保祥太郎&Shinnosuke)、D.A.T(小野大輔&近藤孝行)、King&Rogueone(鈴村健一&寺島拓篤)が登場するという新しい試みも。次の10年へとつながる、確かな手ごたえを感じるステージとなった。


 と、駆け足で“おれパラ”の歩みを振り返ったが、ここからは筆者が体感した魅力を挙げてみたい。


・会場の“空気感”とホスト4人の異なる色
 まず真っ先に浮かぶのは、会場の“空気感”だ。ホストはもちろん、“おれパラ”を愛するすべての人にとって、年末の神戸ワールド記念ホールおよび両国国技館とは「約束の場所」であり、1年の最後に集う「あたり前の空間」である。1年を通して、それぞれの日常には楽しいことだけではなく、苦悩や困難もあったかもしれないが、ここでは誰もが笑顔でいられる──そんな温かい空気が流れる“おれパラ”という場所。1年の終わりに「自分には、大好きな人たちが待っている場所があって、そこでは必ず笑顔でいられる」と実感できるのは、とても幸せなことではないだろうか。


 次に挙げたいのは、彼ら4人の異なる色について。岩田が掲げた「本気で音楽に取り組み、自ら発信していける場」という“おれパラ”イズムは、彼が卒業してからも、声優アーティストとして個性をぶつけ合う彼らのステージに浸透している。イメージカラーのピンクを背に、ロックでアダルトなステージを演出する森久保。ラップを織り交ぜたアップテンポの曲を披露する寺島に呼応するように、黄色の光が上下する。青に染まる客席を幸せそうに見渡しながら、爽やかに歌い上げる鈴村。ときにセクシー、ときにキュートな小野のパフォーマンスに合わせ波打つ緑の会場を眺めるのも楽しい。ホストそれぞれの魅力がバランスよく詰まったセットリストは、いつも客席を楽しませてくれる。


 先述したように、レーベルの垣根を超えた多彩なゲストが集結するのも“おれパラ”の魅力だ。下野紘、畠中祐、古川慎といったデビューしたて(※出演当時)のアーティストから、2HEARTS(立木文彦&森川智之)、OLDCODEX(Ta_2=鈴木達央&YORKE.)といったベテラン勢まで、一堂に会するステージは“声優アーティストのショーケース”ともいえよう。


 そしてもうひとつ、個人的な好みとして付け加えると──小野大輔の「Kiss Kiss Kiss」は“おれパラ”で観るのが断然楽しい。もちろんソロライブでの「Kiss Kiss Kiss」も素晴らしいのだが、一度聞いたら忘れないメロディと、一度観たら忘れない振り付けの同曲は、ほかのホストたちもつい踊ってしまうほど。森久保に至っては「Kiss Kiss Kiss」が好きすぎて、リハーサル時や本番のバックヤードで踊る姿はファンの知るところ。10周年の千秋楽では念願が叶い、“Kissにとり憑かれた男”として完コピのパフォーマンスを披露している。今年のセットリストに「Kiss Kiss Kiss」が入るかどうかは不明だが、もし小野がステージで歌った際には「いまこの瞬間、森久保がバックヤードで踊っているんだろうな」と想像しながら観てほしい。


 ということで、魅力を挙げていくうちにますます楽しみになってきた2019年の“おれパラ”は12月7日&8日に神戸ワールド記念ホールにて、12月21日&22日に両国国技館にて開催予定。今後発表されるテーマやゲストにも注目したい。また、8月7日に発売される『Original Entertainment Paradise -おれパラ- 2018 ~We’lluminate☆PARTY~』ライブBlu-rayには、チケット最速先行申込応募券が封入されるので要チェックだ。(とみたまい)